皆様こんにちは。腸美活通信 編集部 MOです。

 

春になり、新生活が始まった方も多くいらっしゃると思います。

子どもにとっての新学期と言えば、新しい学校やクラス替えなど、期待と不安で落ち着かないもの。

 

しかしそれは大人も一緒。新しい環境でうまくやっていけるか、誰でも不安に思うものです。

特に「自分はうまく人間関係になじめない」と思っている方は、その気持ちも大きいのではないでしょうか。

 

近年、「発達障害」という言葉が広く認知されてきました。

これまで「生きづらい」と思っていたことが、実は障害の可能性があるということがわかってきたのです。

 

発達障害は、その障害を持つ方が「自分が何が苦手であるか、どう対処すればうまくいくか」を知っておく必要もありますが、受け入れる側もその障害を理解し、その方が働きやすくなるための対策を講じることも非常に大切です。

 

今回は「大人の発達障害」について考えてみましょう。

 

 

発達障害とは

発達障害とは、幼少期からの発達の偏りと、生活環境とがかみ合わず、脳の情報処理や制御がうまくいかなくなり、日常生活に困難をきたす状態のことです。

特定のことには優れた能力を発揮しますが、別の分野は極端に苦手、といった特徴が多くみられます。

 

発達障害がある人は得意なことと苦手なこととの差が大きすぎてしまい、それが原因で生活に支障が出やすいといわれています。

 

 

発達障害の特性

 

ASD(自閉スペクトラム症)

  • コミュニケーション及び相互関係の障害
    人の気持ちを理解するのが苦手、冗談や比喩が理解できない、興味のあることを一方的に話し続けてしまう、非言語的なサイン(表情・目配せなど)を読み取ることが困難など。
  • 同一性へのこだわりや興味・関心の狭さ
    日課・習性の変化や予定の変更に弱い、特定の物事に強いこだわりがあるなど。
  • その他の特性
    聴覚・視覚・触覚など感覚の過敏性を伴うことがある。

ADHD(注意欠如・多動症)

  • 不注意
    物をなくすことや忘れ物が多い、人の話を一定時間集中して聞けないなど。
  • 衝動性
    予測や考えなしに行動してしまう、相手の話を待てないなど。
  • 多動
    じっとしていられない、動き回る、しゃべりすぎるなど。

LD(学習障害)

  • 読む書く計算するなどの特定の分野だけが極端に困難

 

どんな症状があるか

生活の範囲が広がったり、環境が変わることにより、それまで気づかなかった発達障害の特性が現れる場合もあります。


社会人になると、臨機応変な対応や人間関係における複雑なコミュニケーションが必要となります。

しかしこれらは発達障害の特性から苦手分野とされており、子供の時はあまり表面化しなかったものの、大人になってから困ることが増え、受診した結果、発達障害と診断される場合もあります。

  • 周りに理解されない理由で遅刻や欠勤をする。 
  • 感情、集中力に波がある。
  • こだわりが強く、自分で決めたやり方を変えようとしない。
  • ある特定の作業が苦手。
  • 職場でのコミュニケーションがうまくいかない。
  • 相手の気持ちの推測、状況に合わせた言動ができない。

…などで発達障害に気づかれることがあります。

 

 

治療方法

治療については、主に薬物療法生活療法の二つがありますが、いずれの治療法にせよ、現段階で発達障害の根本的治療はできません。

発達障害の特性とは、その人が生まれ持った特性(感性や行動)と深く結びついているため、それを根本的に変えることは難しいからです。

 

従って発達障害の「治療」とされているところは、得意と苦手の振り幅が大きい発達障害の凹凸を出来る限り範囲内に収め、生活上のかみ合わない部分を少しでも軽減させる方策を見つけることになります。

 

 

特性に合わせた対策

 

① なぜ不適応が生じているのか

  • 発達障害の特性そのものか
  • 二次的な要因によるものか
  • 周囲の環境によるものか   …などを検討。

② どうすれば不適応を減らせるか

  • 症状を緩和させる
  • 対処法を身につける
  • 環境を変える
  • 周囲の人にサポートを求める …等、様々なアプローチで探っていく。

安定的な「居場所」と「役割(仕事)」を見つけることが目標

 

 

共に働くうえでの配慮のポイント

 

自閉症スペクトラム

  • 本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く。
  • 肯定的・具体的・視覚的な伝え方の工夫。
    「○○をしましょう」といったシンプルな伝え方、その人の興味関心に沿った内容や、図・イラストなどを使って説明するなど。
  • スモールステップによる支援。
    手順を示す、モデルを見せる、体験練習をする、新しく挑戦する部分は少しづつにするなど。
  • 感覚過敏がある場合は、音や肌触り、室温など感覚面の調整を行う。
    イヤーマフを活用する、大声で説明せずホワイトボードで内容を伝える、人とぶつからないように居場所をつい立てなどで区切る、クーラー等の設備のある部屋を利用できるように配慮するなど。

ADHD(注意欠如・多動症)

  • 本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く。
  • 短く、はっきりとした言い方で伝える。
  • 気の散りにくい座席の位置の工夫、わかりやすいルール提示などの配慮。
  • ストレスケア
    傷つき体験への寄り添い、適応行動が出来たことへのこまめな評価

LD(学習障害)

  • 本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く。
  • 得意な部分を積極的に使って情報を理解し、表現できるようにする。
    ICTを活用する際は、文字を大きくしたり行間を開けるなど、読みやすくするように工夫する。
  • 苦手な部分について、課題の量・質を適切に加減する、柔軟な評価をする。

 

職場での知恵と工夫

  • 仕事をパターン化する。(記憶に頼らない。)
  • やるべき仕事を全て書き出し、順番を付け、見えるところに貼る。(ノートや付箋を利用)
  • 終わった仕事からどんどん消していく。(付箋を捨てていく。)
  • 優先順位がつけられないときは、上司や周囲の人に相談し、優先順位を決めてもらう。

 

  • しまう場所を決めておく。
  • 保管場所を一覧表にし、目の届くところに貼る。
  • 物を増やさないよう、定期的に整理する時間を取る。
  • 書類やメモはデータ化して保管する。

 

① タイミングが分からない場合

  • メモにして相手の机に置いておく。
  • 「今よろしいでしょうか?」と尋ねる。
  • 上司と相談して、報告する日時を決めておく。(毎日○時に報告、毎週月曜、など)
  • 業務のフローを作り、「この時点で報告する」というルールを決めておく。

② 「何を報告すべきか」が分からない場合

  • 何をどのように報告するかを、具体的な例を使ってあらかじめ教えてもらう。
  • まず伝える内容を整理し、紙に書いてまとめてから報告する。
  • 口頭だけでなく、文書やメールでの報告も認めてもらう。

③ 誰に相談していいのか分からない場合

  • 業務別に相談相手を決めておく。(例:コピー故障は○○さんに頼む)

 

最後に

誰にでも「得意なこと」と「苦手なこと」があります。

苦手なことを、ストレスを抱えながら無理に直そうとするのは、本当の「克服」ではありません。


しかし自分の「苦手なこと」を知り、工夫することで、つまずきを減らしていくことは可能です。

例えば、発達障害に多い「1つのことばかりに集中してしまう」「空想が過ぎる」と言う一面は、見方を変えれば「集中力が高い」「発想が豊か」ともなります。

 

企業側も、一人一人の特性を生かし、適材適所に人材を配置するといった「人の活かし方」を検討していただければと思います。

 

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