皆様こんにちは。腸美活通信 編集部 MOです。 

 

私はマンション住まいなのですが、年に数回、住民合同の消防訓練が行われます。

ここ数年はコロナ禍で訓練内容が簡素化されたのですが、それまでは消火器の実演や、人形を使ってのAEDの講習会が行われていました。

 

数年前、住民の意向でマンションのエントランスにAEDが設置されました。

我が家には小さい子がいたこともあり、せっかくAEDがあるのならと、AEDの実践練習に立候補してみました。

 

始めに消防署員から説明があり、その通りにやるだけなのですが、一番の感想としては「見るのとやるのとでは大違い」ということでした。

そして、一度もAEDに触ったことが無い人が、病人を前にこれを使いこなすのは難しいだろうなとも思いました。

 

なかなかAEDの使い方を練習できる場はありませんが、機会があればぜひチャレンジしていただきたいと思います。

今日は「AEDと胸骨圧迫」のお話です。

 

 

心室細動(しんしつさいどう)とは

心臓発作を起こした場合、心臓が完全に止まってしまう前に、わずかながらに心臓が痙攣したような状態になります。これを心室細動といいます。

 

心室細動が起こると、脳や重要な臓器に血液を送ることができなくなり、その後数分で心臓が完全に動かなくなります。心臓が停止した場合は数分、呼吸停止の状態が5分以上過ぎると、死亡率が50%以上になると言われています。

 

 

AEDの役割

AEDとは、Automated External Defibrillatorの頭文字をとったもので、日本語訳は自動体外式除細動器といいます。

 

AEDを「止まった心臓を動かす器械」と勘違いしている方が多いのですがそうではなく、心室細動の状態から、電気ショックにより心臓のリズムを元に戻すのがAEDの役割です。

 

 

AEDの必要性

日本では、救急車到着までの平均時間は約8分です。

  • 除細動までの時間が1分経過するごとに、生存率は約7~10%下がる。
  • 心臓が血液を送らなくなってから3~4分以上経過すると、
    その後の脳の回復が困難になる。

下矢印
心室細動状態の時、2分以内にAEDを使うことで、
実に救命確率が80%以上になることが実証されています。

救急車が到着するまでの間、居合わせた人が応急手当を行うことにより、救命の可能性が格段に高くなります。

 

 

目の前で人が倒れたら!

 

①反応の確認
肩をたたきながら、大声で呼びかけ反応があるかを確認。

 

②119番通報とAEDの手配
傷病者に反応がなければ、周囲に大声で応援を求める。

 

③呼吸の確認
まず胸とお腹が呼吸で動いているかを確認する。(10秒以内)
呼吸なし・普段通りの呼吸なし・しゃくりあげるような不規則な呼吸 ⇒「呼吸なし」と判断。

 

④AEDが到着するまで胸骨圧迫
圧迫位置は胸の真ん中、強く・早く・絶え間なく!

 
 

胸骨圧迫の方法

 

一人で続けるのはかなり大変ですので、何人かで交代するとよいでしょう。

 

 

AEDの使い方

 

①電源を入れる
機種によっては、AEDのフタをあけると自動で電源が入るものもあります。

 

②パットを貼る
傷病者の胸元の衣服をはだけ、電極パットの1枚を胸の右上にもう1枚を胸の左下に素肌に直接貼り付けます。体が濡れていたら拭いて水気を取ります。


 

③安全確認をして、除細動ボタンを押す
「離れてください。心電図の解析中です」という音声メッセージとともに、AEDが自動的に解析を始めます。

電気ショックが必要な場合は「ショックが必要です」と音声で教えてくれます。

周囲の人が傷病者に触れていないことを確認して、ショックボタンを押します。

 

④胸骨圧迫を再開

 

 

手順まとめ

 

 

 

心肺蘇生Q&A

 

Q. 傷病者に呼吸があったり、呼びかけて反応があったら?

A. 横向きに寝かせ、そのまま救急隊を待ちます。

Q. 心臓が動いてるか止まってるかわからないままで、胸骨圧迫をしても大丈夫?

A. 心停止でない方に胸骨圧迫をしてしまっても支障はありません。心停止かどうか迷ったら、まずは胸骨圧迫を開始して下さい。

Q. 胸骨圧迫の速さは?

A. 基本は1分間に100〜120回ですが、自分で数えることが難しいようなら、近くにいる人に測ってもらいましょう。

 

Q. 人工呼吸はしたほうがいいの?

A. 技術が無ければしなくてもよいです。人工呼吸をする場合は、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返しますが、人工呼吸をしない場合は、救急隊が到着するまで胸骨圧迫を続けてください。

Q. AEDが「電気ショックは不要です」と言ったら?

A. 心停止には、電気ショックが必要な場合(心室細動)と不適応な場合とがあります。すなわち、「電気ショックは不要」だからといって、それがイコール「回復した」というわけではありません。倒れている人に反応がなかったら、必ず胸骨圧迫を行って下さい。

 

Q. AEDのせいで状態が悪化するのではと思うと、使うのが怖いです。

A. AEDは、ただ電気ショックをするだけの器械ではなく、「電気ショックが必要かどうかの判断もしてくれる器械」です。自分では判断できない、不必要な電気ショックで傷病者の状態を悪化させてしまうかもしれない、といった心配はせず、迷った場合はとりあえずAEDを装着して、あとはAEDの指示に従いましょう。AEDの解析は大変正確です。

 

Q. 傷病者が女性の場合、使いにくいです。

A. 電極パッドを貼るときに、服は全部脱がさなくてもよいですし、下着も金具を避ければ、取らなくて大丈夫です。 (※一部のAEDを除く)

電極パッドを貼ったあと、服を掛けても大丈夫です。ほかにも、人垣を作って周りから見えないようにするなどの対策もあります。何より、人命救助が第一です。「訴えられる」等の話はデマなので、躊躇せずAEDを使用しましょう。

 

※構造上、胸全体に貼る必要があるAEDがあります。
※金属があるとやけどをする可能性がありますが、命には代えられません。

 

 

最後に

以前は、AEDを使用できるのは医者や救急救命士といった医療従事者のみに限られていました。

しかし2004年以降、厚生労働省により一般の人でもその使用が認められるようになりました。おかげで、それまでは病院に搬送されるまで処置ができず失われてきた命の多くが、私たち市民の手によって救われるようになりました。

 

AEDは街中に普及しつつありますが、使い方を知らない方も多く、まだ多くの課題が残されます。万一の事態に備え、救命講習に参加するなど、個人・企業での取り組みが大切です。

 

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