私は、「肉が嫌い」で通っている。

ロータリーの例会食では、ホテルの方で気を配っていただき、肉の場合はシーフードになっていることが多い。

松花堂弁当の時も「青山さん用です」と目の前にお重をおかれるが、他の方と何が違うのかと見比べてみたところ、鴨ロース一切れ分が別のものと入れ替わっていた。さすがはホテル、きめ細やかな心配りだと思った。

 

 ところが、私は実は「肉嫌い」ではない。どちらかといえば、「肉好き」の方だ。

ただ、食べたい肉と食べたくない肉がはっきりとしているので、肉の選り好みをしてしまう。

それならば、「肉嫌い」と言って、食べない方がいいのではないかと思っている「肉嫌い」である。

それを知っている人からは、「我儘だ」とか「高い肉しか食べない」などと言われるが、けっしてそういうわけではないと自分では思っている。肉を食べるなら、好きな肉の方がいいのは当たり前である。

 

 そんな理由から「肉嫌い」といっているので、なかなか肉を食べる機会はないが、月1~2回ぐらいのペースで、焼き肉や鉄板焼きを食べに行くのが楽しみである。すき焼きやしゃぶしゃぶはあまり好きではない。

ロース肉はブランド牛であっても、特上や極上ロースであっても嫌いだ。それは脂と赤身が分離しているからである。

ステーキのサーロインも絶対に食べない。いつもフィレの方を選ぶ。ロースと同じ理由からだ。

カルビも好きではない。分離はしていないけれど、高級なものになるほど脂がきつすぎるからである。

好きな肉は、赤身のようにパサパサせず、脂っこくしつこくなく、それでいて口の中でトロけるようなお肉。

ミスジ、ヒウチにイチボ、ザブトンなどのお尻のあたりの肉が好きだ。タン塩も好きだが、タンならタン元の煮込みが最高だと思う。

これらの自分本位の好みをいちいち説明するのもめんどくさいから、私はこれら好きな肉を「美しい肉」と呼び、「美しい肉しか食べない」といっている。

 

 先日、人間ドッグを無事に終えたので焼肉レストランに行った。

いつも行く焼き肉レストランだが3Fのフロアを予約すると、個室でゆっくりと「美しい肉」を楽しむことができる。

ここには残念だが、ヒウチ、イチボ、ザブトンは無い。

だからいつも注文するのは、主にミスジ。たれ焼きではなく塩焼きにする。美しい肉は塩焼きに限る。

じゅうじゅう焼いて、特性のポン酢と大根おろしでいただくと、脂がポン酢と大根おろしに洗い流されたようにさっぱりといただける。でも口の中ではしっかりとトロけるのである。

これが美しい肉の醍醐味だ。

そして、ちょっと贅沢だがシャトーブリアン。こちらも塩焼きでいただく。

極上のフィレ、シャトーブリアン。フィレだと柔らかいがじゅわっとした脂っぽさが足りない。

そのすべてが揃っているのがシャトーブリアンだと思う。

 

 厚切りに、さりげなく入ったサシがとても美しい。見ているだけでもその美味しさがわかる気がする。

強火でじゅわっと焼いて、塩をつけていただく。極上のお肉は、塩が最高だ。

柔らかくとろける味わいは、普通のフィレにはないもの。さすがは王様、シャトーブリアン。

美しくトロける「美しい肉」、中でも最高に美しいのはやはりシャトーブリアン。

しっかりめの赤ワインとのマリアージュも最高だ。

美しくトロけるシャートーブリアンに、心もトロトロとろけそうな気分。