バブソンMBAのベンチャー日記 -42ページ目

日本の法人税について

経済学者の池田信夫さんが、日本の法人税引き下げについてごもっとも意見をブログに書いている。
ユニクロなど高い利益を上げているグローバル企業は、拠点を海外に移して海外で税金を払うようになっています。今やOECD諸国で最高になった日本の法人税を払うのは、海外展開する能力も金融知識もない企業だけです。

つまり高い法人税は、収益力の低い企業だけを日本に残す逆淘汰のメカニズムとして機能しているのです。このまま放置すると、ただでさえ雇用規制や過剰コンプライアンスでコストの高い日本から企業が逃げて空洞化が進み、所得の高い個人も資産を海外に移し、日本に残るのは老人と低所得者だけになるでしょう。
確かに韓国や台湾、中国などアジアにおけるライバル国は、法人税を引き下げることで、企業の投資余力を高め、海外企業の誘致にやっきになっている。日本が遅れをとっているのは明らかだ。

ただ、法人税を下げるだけで「成長率が上がり、税収も上がる可能性が高い」かどうかは微妙だと思う。まず忘れてはいけないのは、アメリカの法人税も同様に高いということ。”世界各国の法人税税率”にあるように、アメリカの実効税率は36%~40%だ。そして、アメリカの経済成長率(実質GDP成長率)はここ20年、2%~4%を中心に推移しており、法人税の引き下げが経済成長の必要条件ではないことを示している。

法人税を引き下げることで、経済成長し、税収も上がるのは、法人税が下がることによって、
A)日本企業が国内に投資する
B)外国企業が日本に投資(事業展開)する
のどちらか(もしくは両方)が行われ、その効果が税収減分を上回った場合にのみ実現する。

A)については、日本企業の投資余力は高まるが、輸出産業が主力の国内経済では国内ではなく海外への投資が中心になるはず。そうすると、A)の効果は限定的だ。

B)の方に期待したいところだが、韓国、台湾、香港、中国などの実効税率の差が大きく、経済成長に対する見通しの違いもはっきりしていることから、ジャパン・パッシングが解消されるかどうかは不透明だ。

なので、外国企業の積極的な誘致など他の政策とセットにしないと、十分な効果は期待できないと思う。

※参考HP
http://kisoken.keikai.topblog.jp/blog/124/10006595.html
http://www.kpmg.or.jp/resources/research/r_tax200809.pdf

総理大臣がまた変わったが・・・

民主党政権になって9ヶ月。あっけなく鳩山体制は崩壊し、管体制に移行することになった。新政権では、大半の閣僚が留任すると思われるが、9月の民主党代表選後の内閣改造ではそれなりに入れ替わるのはないかと言われている。

そこで、たまには政治について真面目に語ってみたい。

4年で総理大臣が4人代わる事態となり、小泉元首相も「平成に入って22年の間、次の総理で16人目。チェンジ、チェンジと言っても、ちょっと変わりすぎじゃないか」と言っている。平均1年ちょっとで国のトップが替わっていたら、政策の継続性の観点から、実効力のある施策を取り、経済を成長軌道に乗せ、財政再建を実現させられるはずがない。WSJ(ウォールストリートジャーナル)も
The short terms of other predecessors delayed efforts to solve chronic problems such as spiraling government debt, slow economic growth and rising joblessness among young people.
(管政権の前任者たちの短命政権が、急増する政府債務、低迷する経済成長、若年層の高い失業率といった慢性的な問題を解決することを遅らせている。)
と論評している。

一方アメリカは、この22年間で大統領はジョージ・ブッシュ(父)、ビル・クリントン、ジョージ・ブッシュ(息子)、バラク・オバマの4人だけである。。。
実際のところ他国での国家元首の在任期間をみてみると、(Yahoo知恵袋より
中国の国家主席 ⇒ 平均2,347日(約6年5ヶ月)
アメリカの大統領 ⇒ 平均1,866日(約5年1ヶ月)
イギリスの首相(連合国) ⇒ 平均1,270日(約3年5ヶ月)
ロシアの大統領 ⇒ 平均1,203日(約3年3ヶ月)
日本の首相 ⇒ 平均490日(約1年3ヶ月)
となっており、日本の首相の平均在任期間が圧倒的に短い。


政権政策の方向性は勿論重要だが、一方で長期安定政権の実現が今日本にとって極めて重要だと思っている。民主党政権の政策は、子供手当てみたいな馬鹿げたばら撒きや郵政改悪法など首を傾げたくなることをやっているが、原口さんの進めている光の道政策や、事業仕分けなどこのまま継続してほしいこともやっている。だけど、参院選で民主党連立政権が安定多数を取れなければ、政界再編につながる可能性もある。民主党の政策はいろいろ問題含みなので、政権が変われば、またやり直しだ。

小泉さんの時には同政権は5年続き、結果として日本のGDPは一時成長軌道にのり、株価も回復した。長期的に一つの政権が一貫性のある政策を継続しないと、目に見える成果は期待できない。

今回の鳩山退陣後の経緯をみていて残念だったのは、与党のみならず野党も、短期政権が続いている政治の現状について問題意識を持ち、その理由に言及することがなかったこと。短期政権が続く理由は、首相個人の資質の問題なのか、(スキャンダルを許さない)国民性の問題なのか、選挙の仕組みによるとこなのか。このあたりの議論は、政治家はもちろん、マスコミにおいてももっとされるべきではなかろうか。


ちなみに私は国民性の問題といっても仕方ないと思っており、選挙制度をいじるべきだと思っている。米国の選挙制度に近い形にし、国民が直接国のトップを選ぶ仕組みにした方が、選ぶ側の責任感も増すし、選ばれた側も軽々しく政権を放棄できなくなるはずだ。

日本経済の真実

ニュースキャスターの辛坊治郎氏の新著「日本経済の真実」を読みました。

実業の経験が豊富なお兄さんと組んでの、日本経済の実際のところについての論評本。TVでの辛坊さんは、読売テレビの正社員であるにも関わらず、あまり立場を気にせず、全うなことをストレートに語る人なので、どんな本を書いたのだろうと手にとってみたわけです。


基本的には、経済の基礎知識のおさらいと、日本国の財政と金融の実態について可能な限り数字を使って事実を語るという内容。細かい所で本当か?という箇所はあるが、全体として言っていることは正しいので、「そうだ、そうだ」と同感する。


所々関西弁を織り交ぜつつ、よくTVで訳の分からない持論を展開するエコノミストたち(一人は、森○○朗氏と思われる)をクルクルパーだと、容赦なく切り捨てるところは痛快だ。小泉・竹中政権の成果については肯定的に評価し、民主党の子供手当てはナンセンスな政策だと批判していることには、全くの賛成。


全体的には良く調べ、丁寧に書かれているので良い本だとは思うが、目新しさがないので特別にぱっとする本というわけでもないのがやや残念。

でも辛坊さんはいい人なので、応援します。

日本経済の真実―ある日、この国は破産します/辛坊 治郎

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