2016年12月21日 第63回がん対策推進協議会(議事録)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000150455.html
(1)がん対策推進基本計画の見直しについて
・緩和ケアについて
・障害のあるがん患者への対策について
(2)次期計画の全体目標について
(3)その他
○塩崎厚生労働大臣
法律ができて10年の節目、
9月、日米韓3カ国の保健大臣会合、データの共有、標準化を3カ国で協力を合意。
10年の間でがん診療連携拠点病院、地域がん診療病院のない二次医療圏も、240カ所から75カ所まで減少、がんで死ぬことがないようにキャンサー・ムーンショット、患者の立場、家族の立場、サバイバーの立場、を大事にしながら。
○がん対策推進官
緩和ケアの指標や基準を確立。緩和ケアチームなどを育成。緩和ケアセンターの機能を強化といった方向性。
緩和ケア研修会や卒前・卒後教育、積極的な受講勧奨を進め、e-learning等を導入、より効率のよい研修会を実施。
国民に対する医療用麻薬の適切な啓発、家族が寄り添えるような療養環境の整備、小児、AYA世代に対する緩和ケアの連携・提供体制の整備といった方向性が示された。
○馬上委員
小児慢性特定疾患助成は医療費助成があるも、在宅ケアは受けられない、ぜひ小児、AYA世代の緩和は、3期の基本計画で強力に進めていただきたい。
○福井参考人
がん以外の分野の方々にも緩和ケアの連携も当然必要。
○細川委員
がん以外の疾患についても緩和ケアをやっていかなければならない時代が来ています。
○門田会長
医療をしている人間あるいは医師、医学教育を受けた人間ははそういう精神がなくてはならないはずだった。
○細川委員
もともと緩和ケアは患者さんとその御家族つまり底辺から必要に迫られ。専門的に緩和ケア病棟を運営できる医師がほとんど育っていません。
緩和ケア外来を行い、緩和ケアセンターを運営し、緩和ケア病棟を設置し、レスパイト入院も引き受けるとなると、ある程度以上のレベルが必要。医学生や卒後教育、看護師、薬剤師の緩和ケアの基本的な教育も含め、教育、臨床、研究におけるインフラ整備は必須。
上っ面だけでなく、もっと緩和ケアの基本的なインフラ整備にしっかり目を向けて話を進めていただければ。
○門田会長
がん患者さんの自殺対策について。
○内富参考人
我が国における自殺、昨年2万4,025人。ピークは3万3,000人、先進国では今なお極めて多い状況。年齢、40代、50代、60代、70代の順で、無職の方が約6割。
健康問題がある者が1万2,145人と最も多く、続いて経済、生活、家庭問題、勤務問題と続きます。健康問題の中ではがんが最多ではないか。
がん診断後、1年以内の自殺が23.9倍。全自殺者の約5%ががん診断後1年以内。罹患後2年目以降も含め、かなりの大きい数字。
自殺率はおおむね一般人口と比較して2倍弱。時期は診断後1年以内。特に診断直後が最も高い。危険因子はうつ状態。体の痛みというよりは、心の激痛であるうつ状態。そして男性、進行がん、高齢者、そして頭頸部・肺がんなど診断時に非常に苦痛を伴うもの、もしくは死に向かう肺がん、膵がんが大きい危険因子であります。
フィンランドでは、心理学的剖検という特殊な調査を追って、うつ病、うつ病性障害、適応障害、アルコール、不安障害などが関与しています。
がんの場合は自殺のリスクが高い時期がはっきりとわかっています、診断後3カ月、特に診断後早期に手厚く膵がんや肺がんや頭頸部がんなどにプリべンション、個別のケースマネジメントをするなどが1つ考えられるのではないか。
○田中委員
かつてがんが告知されなかった時代は、衝撃を受けて自殺してしまうから告知しない、告知が一般的になって、非常に衝撃的。
○田中委員
そもそもがんを診断、告知する医師は、自殺のリスクが高まることを認識しているのか。
○内富参考人
警察から連絡がない限り、わからない状況ではないか。
○中川委員
今の若い医師の告知の姿を見ると、全てつらいものは全部患者さんが負ってしまうような形になっているのは事実。
自殺を防ぐことは重要ですが、がんという病気のイメージも重要。
○馬上委員
AYA世代、若年成人に関して、そういった素地があるか。
○内富参考人
現在でも20代の方の死因の第2位は自殺、病苦と並んで就労の問題もある。40代以上の方の経済的なものに対する支援で随分減ってきたが、20代は世界的にもなかなか減らない、
○桜井委員
臨床心理士さんとか、心の専門家の方の配置の状況が専従なのか、このあたりの状況をもう少し教えていただければ。
○内富参考人
がん専門医1,300名以上の方が研修を修了予定。PEACE8万人ぐらい。がん治療認定医機構などから単位を認定、学会として自立。
精神療法の領域では認知療法とかマインドフルネスとかディグニティーセラピー。
臨床心理士は昨年公認心理師法ができ、現在314の拠点病院がおられます。
○若尾委員
主治医とのコミュニケーションはすごく重要。全てのがんにかかわる医師がここに書いてあることを実践してくれたら、がんによる自殺者は大きく減る。
○山口委員
この問題は、医師だけの問題だけではなくて全ての医療スタッフの問題、多職種チーム医療としてこの問題に取り組むことが大切。医療文化を根づかせることは大変時間がかかります。全職種がしっかり声をかけていく文化がつくれれば解決するだろうと思います。
○門田会長
障害のあるがん患者への対策について
○がん対策推進官
障害のあるがん患者の実態や必要な支援等が十分に明らかになっていない。患者が適切な情報提供を受け、意思決定をするためにどのような支援が必要かが把握できていない。
まずは障害のあるがん患者の実態やニーズを把握する必要がある。実態やニーズを把握した上で適切な情報提供の仕方や、意思決定支援のための整備を進めていく必要がある。
○八巻参考人
日本では障害のある人の健康や医療に関する統計情報がなく、実態がほとんどわかっておりません。
がん検診の担当者の方が障害のある人の受診を意識されていない。障害のある人にも適切なサポートで検診ができる体制、その整備と周知が求められている。
○桜井委員
ここで言うところの障害者の定義は何か。外国人の方、バリアフリーとかユニバーサルデザインという視点から考えるのか、どのようにお考えか。
○八巻参考人
さまざまな要因に対して対策が必要。<②へ続く>