<①からの続き>

○桜井委員 

外国人の方が相談支援センターに非常にふえているとか、診察の場面にも出てくる。日本語が話せない方への対策も含めて考えていかれたほうが。

 ガイドヘルパーが介護制度を使えても、入院するとそれが一切使えなくなる。そのあたりの対応はどのようにされているか。

○八巻参考人 

病院で対応できること、地域で対応できること、それぞれができることをしていくしかない状況。

○山口委員 

今回の想定は、もともと障害を持っておられた方ががんにかかったときにどうするか。現在あるインフラを活用、整備を進め、治療前から障害を持っている方も同じインフラを活用していただくと言った考え方をしたほうが、

  その上で、ストーマをつくらざるを得なかった方にとって、ストーマ対応のトイレが一体どこにあって、どれぐらいあるのか。といった調査。

○八巻参考人 

そういったところを拠点病院でつないでいただけるようになれば、その後の長く続く生活の不自由さを乗り越えていく最初の一歩がスムーズに出ていくのでは。

○若尾委員 

コミュニケーション等に障害のある方へのがん対策と、障害のあるがん患者への対策は二本立てで進めていってほしい。

○片野田参考人 

2005年をベースとして2015年までに20%減らす目標、15.6%減にとどまった。

 胃がんは減少がほぼ同じ減少率、大腸がんが若干減少が鈍化。肝がんは逆に減少が加速。

 肺がんは大腸がんと同じく減少が鈍化。女性の乳がんは横ばい傾向。子宮頸がんは増加が加速。 

○山本参考人 

「ミナケアは」は、病気にさせない、病気になった場合の負担を減。健康保険組合、国民健康保険にレセプトデータや検診データを使って、どこにリスクが潜んでいるのか、どこにコストがかかっているのか、分析した上で、財政の健全化、個々人の健康を増進。

国民健康保険の場合、約4割を国からの負担、企業健保の場合は原則半々が社員と会社から出ている。

 そのお金がどう使われるか、集めたお金の45%は高齢者医療のため国に納付。残った55のお金のうち50の分が医療費の支払い、病気にさせない活動に関しては5%しかお金が使われていないが健康保険組合全体の平均の数字。

 予防や検診には5%しか使われていない実態、この5%のうち6~7割が検査、つまり健康診断とかがん検診の検査自体に使われており、予防の推進、検査を受診したことへのアクションには2~3割以下が実態。今、財政の厳しさを踏まえてこの5%に足らない健康増進事業という予算が減っている。こうしたお金の使い方をしている限り、いつまでたっても、病気になってから出動、後手の対策だけを議論しても、余り生産的ではない。

 質のいい保健医療をやるためには何が必要か、先手で取り組む。健康づくりあるいは疾病の管理、サポートという面で後手に回ってしまうと、健康医療に回るお金が常にコストであるという意識から拭われない。先手を打って投資する考え方にしていきたい。

 家族または同僚といったスモールコミュニティーの軸を生かして事に対処しないと、もはや対応できない。

 保健医療は何かの病気だけを取り上げればいいものでもない、リスク実態に即して多岐にわたった取り組みは国としても取り入れていくべき。

 国際臨床アウトカム学会で発表した内容が、肥満から脱出すれば血圧は下がる、それだけの論文、これまで多く取り上げられてこなかった、こういうエビデンスを出すことが保健事業をやる意味を保険者に感じてもらう強いエビデンスになる。

 がん検診をやることで本当に医療機関への受診につながっているか。がん検診をやる意味があるか。

実施主体が誰、誰が責任を持ってやり、何を評価指標とするかに関しては薄い。がん検診はなぜ企業でやらなければいけないのか。半分近いお金を国に吸い取られているのに、なおがん検診までやらなければいけない根拠はあるか、ほかにもやることがあるのではないか。

 健康増進から終末期まで一貫性を持った保健医療を提供する理想像、予防に関する科学的エビデンスが圧倒的に少ない。

 がんの予防法も、メタボ予防と何も変わらない。適正な生活をしましょう、運動をしましょう、お酒を控えてたばこはやめて、感染症には気をつけましょう。がんになるリスクが減る数値も出ていながら、なかなかこうしたものがストレートに伝わるほどのインパクトを持った推進がされていない。

 喫煙1つもまだまだ現場の理解、受けとめ方、それでうつ病がふえたらどうするといって却下される。そんなレベル。笑うしかない話、現場はそのぐらいの認識、前段階の方々がいかにリアリティーを持たずにメタボもがんも見なしているかをまず御理解いただいた上で、疾患になる前のアクションについて御検討いただきたい。

 糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、人工透析。人工透析は透析導入後の平均余命が5年、そうしたものをいかに避けるか、検診の前に取り組めることもあるのではないか。検診は意味がないと言うつもりは全くないが、その前にもやることがあるのではないか。あるいは検診後に診断、治療に促すためにやることがあるのではないか。実施主体が本当に正しいのか、明確化されているのか。実施責任あるいは成果に対する評価がきちんと仕組みとして整っているのか、これをぜひこの協議会からの発信として入れ込んでいただければ。

前段としての予防行動に向けた啓発やインセンティブ設計をぜひ置いていただきたい。実施率で評価するインセンティブだけはやめていただきたい、やることで何を目標にしていたか、評価指標が設定されていない限り、取り残された人は永遠に取り残され、頑張る人だけが実施率向上に貢献になります。

 研究開発として予防法、バイオマーカーを含めた管理指標、例えば高血圧であれば血圧を見よう、糖尿病であれば血糖値を見ようがあるけれども、がん予防に必要な管理指標があるかという研究開発も当然必要。がん検診あるいはがんの予防を実用化した場合の医療経済的評価。これがないとなかなか経済主体は動いてくれない、こうしたことも強力に推進。

○難波委員 

がんになる国民を減らす、がんで亡くなる国民を減らす、がんにかかわる国民がよりよい生活の質を享受。こういったように全体目標というのはスローガンで、評価に関しては個別目標に基づいて行うことが重要ではないか。

○中川委員 

生活習慣の影響が大きい、がん死亡が一番多い青森が一番短命、長野でその逆。たばこがもっと議論されるべき、そこが薄い。 

○桜井委員

現状、診断自体が死の告知、世界と比べて何十周もおくれている、

○馬上委員 

生活の質の向上と公平性の確保を掲げる例が多い、この公平性の観点、これは経済的なもの、施策的なもの、両方で理解してよろしいか。

○片野田参考人 

おっしゃるとおりここで言う公平性はいろいろな概念、社会経済格差も入って、小児、希少がん対策、全てが入っている。今、手が届いていない人、全てを救うニュアンスで公平性という言葉。

○山口委員 

「がんによる死亡者の減少」は、75歳未満が数値的に評価しやすい。だから逆に言うとアウトカム評価を重視した余りに、全体像から少し離れた結果を議論することになってしまった。

 進行・再発がんに対する抗がん治療についての努力が入ってこない。再発がんの治療を実践し、共存期間を延ばし、元気でいていただける期間を延長、どこで評価されるのか、医療スタッフの努力は理解されているのか。

 難治性がん、小児がん、希少がんを見てしまうと評価が難しくなる。がんに罹ったら、何はともあれ治してもらいたいというのが患者家族の最大の願い。

 未成年での喫煙開始と30歳以上での喫煙開始を比較すると数倍程度の危険度。未成年の喫煙防止を強調したい。最終的に成人の喫煙率低下へとつなげていくことが、戦略としてはやりやすい。徹底的に学童、学生に指導していただくことをぜひお願いしたい。

 分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が高額、医療経済学的な情報を委員の皆様と共有できれば。

 メタボとがんは関連が深い。従って、メタボ対策は、今後、がん対策の重要な柱。

○檜山委員 

死亡率の減少だけが本当に目標でいいのか、小児がんの分野でこれ以上死亡率を下げるは、ほぼ無理。 今はゲノム医療の世界。ゲノム医療を導入したがん医療の体制構築でしか、そういう患者さんの治癒率を上げることは無理ではないか、ゲノム医療を導入したがん医療体制の構築を提案。

○門田会長 

5年、10年に向けてどのように今、全体を構築していくか。引き続き検討。

○がん対策推進官 

厚生労働省、国立がん研究センター及び国会がん患者と家族の会の共催で「がんとの闘いに終止符を打つ『がんゲノム医療フォーラム2016』」を開催。

 塩崎厚生労働大臣が「がんとの闘いに終止符を打つ」という目標に向かって、がんのゲノム医療の着実な推進に向けた決意を表明。全国15カ所のサテライト会場にも中継、<抜粋終了>