2016727日 第3回がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000134113.html

 


(1)前回の議論について
(2)緩和ケア提供体制について
(3)その他

○事務局(濱) 

「すべての医療従事者が基本的な緩和ケアを身につけるための方策」として、「定期的・継続的な調査が必要ではないか」「推進すべき取組の方向性について」、「定期的、継続的な調査によって、到達目標の検討と明確化を行う」、「ケアマネージャー、訪問看護師等」、「地域完結型医療にも対応できる」。これも踏まえて、御議論いただければ。

○木澤参考人 

がん疼痛、からだと心のつらさの緩和、がん診断を伝えるコミュニケーションに主眼を置いた 12 時間以上のプログラムを用いた研修。研修修了者は指導者が約 3,000 名、研修会修了者が約 7  3,000 名。

研修を受けたからといって、緩和ケア病棟で診療するとか、緩和ケアチームで診療すると言った専門的な能力を得ることはできません。飽くまでも、日常診療で起きるコモンな緩和ケアに関する問題を解決するためのプログラム、いわゆる、基本的な緩和ケアを勉強するプログラムです。

 今後は、共通レベル、 e-learning で勉強していただいて、疾患別、また学習者のレベルに応じて集合研修を行うと良いのではないか。集合研修は、主に、実際の事例の検討、コミュニケーションに特化、例えば、がん、循環器、各々の集合研修を作っていくデザイン、対象者によって変えられるようにデザイン、様々なことに対応できるのではないか。

 この 5 年間で世界各国も進歩、例えばイギリスとオーストラリアは、緩和ケアの基礎研修に e-learning を導入。10年前はなかった、工夫した e-learning サイトを開発、わが国独自のものを作っていけたら。

○服部構成員 

研修会修了者 7 3,211 名、分母は何名ぐらいか。

○木澤参考人 

多分 15 万人前後。

○中川構成員 

がん対策推進基本計画の現状、いまだ十分に実行されていない、これまでの緩和ケア推進検討会のワーキンググループの実地調査でも、“極めて不十分”と指摘。

構造 (structure) の部分しか評価していない。簡単に言うと施設要件。プロセスとアウトカムについて評価するという形が必要。医療品質管理の専門家の助言も有効か。

患者、家族のための緩和ケアというグランドデザインを共有できていない問題があるのでは。

拠点病院関係は、医療用麻薬に関する一種の偏見がまだまだある。例えば医療用麻薬という名称をオピオイド鎮痛薬に変える議論していいのではないか。

優良、良質と言われた拠点病院でも、患者の 3 割が疼痛に対応してもらえないとも。

 約 400 の拠点病院の中で、 200 施設は専門的な緩和ケアの担当医がいない。どのように底上げしていくか。加算を取っていない所の質をどう上げていくか。 結果的には緩和ケアチームと言いながら、緩和ケア医と言いながら、いわゆる「なんちゃって緩和ケアチーム」、「なんちゃって緩和ケア医」が多く存在。研修会ではなくて、緩和ケア医の底上げを図る研修会の必要性も議論する必要がある。

 緩和ケア研修を終えても、実は余り実効性が上がっていない、一般病院ではなおさら、 関心のあるケースワーカーもいるが、なかなか臨床の現場と結び付いていない。

緩和ケアセンターが予算化されたが、まだまだ広がっていない。

病院長が緩和ケアに理解を持つことが非常に重要、 90 %達成が前提、その次のステップを考える必要がある。がん医療に関わる全ての医療従事者への研修、もともと掲げた最終ゴール、一般病院での医療者への研修をどうするか。

緩和ケア研修の修了バッジが、着用されていないケースが非常にある。

緩和ケア管理室」のような、実態を監査するような体制がとれないか。 外部からの目をそこに入れることができないか。患者体験調査を、質の確認と向上のフィードバックに用いることができないか。

 我が国は医療用麻薬の使用量が少ないがある、ただ量を拡大ではなく、適正な使用の推進が量の拡大につながる。

医療用麻薬に関しては、薬剤師の方々が知識をお持ち、この方々をもっと活用する方法を考えなければいけない。緩和ケア外来を含めて、緩和ケアの中でもセカンドオピニオンに関する推進が必要。

○がん対策推進官 

緩和ケアと同時並行して走っている検診、医療提供体制の検討会もあり、その辺りの動きと調整しながら進めていきたい。

○中川構成員 

ワーキンググループを作っていくか、そこはいかがですか。

○がん対策推進官 

そこも含めて、この検討会で御議論いただければ。

○福井座長 

緩和ケア提供体制 ( がん診療連携拠点病院 ) についての説明をお願いいたします。

○事務局(濱) 

 「苦痛のスクリーニングが導入されている拠点病院は約 9 割、限られた少数の部署での実施に止まっている。フォローアップ体制が整っていない拠点病院は約 6 割。

平成 27 年度末には都道府県がん診療連携拠点病院の全てで整備済という状況です。

緩和ケアセンターは、全ての都道府県がん診療連携拠点病院に設置されるとともに、地域がん診療連携拠点病院にも、自主的に設置が進められている状況である。しかし、緩和ケアセンターは人員不足、役割の認識が院内で共有されていない等の理由のため、十分に機能していない」「緩和ケアセンターについて、人員確保、ジェネラルマネジャーの活動の評価、緩和ケアセンターやジェネラルマネジャーの役割の明確化や院内周知、好事例の紹介、ピアレビュー等に取り組むべきではないか」。

緩和ケア診療加算及び外来緩和ケア管理料が算定できている施設は、拠点病院でも入院 41.6 %、外来 26.9 %にとどまっている。

拠点病院でも、緩和医療専門医及び暫定指導医が配置されていない所が約半数。

「全ての拠点病院で、緩和ケアチーム、緩和ケア外来等の専門的な緩和ケアの提供体制が整備された。緩和ケアチーム、緩和ケア外来の診療件数は施設間格差が大きく、また、基準を満たせないため、診療報酬を算定できる施設は限定されている。緩和ケアの質については画一的な書面のみで評価することが困難であるなど、その基準が必ずしも確立されていない」、「緩和ケアの質の評価方法を確立すべきではないか」、「診療の内容を評価するため、実地調査等を行うべきではないか」。

 「がんプロフェッショナル養成基盤推進プランの推進が重要」、「介護、緩和、就労などの専門家へ適切な橋渡しを行うナビゲーター的な役割を担う看護師の配置による連携強化が必要ではないか」、「遺族調査 ( ピアレビュー? ) による定点・継続的な調査が必要ではないか」。 緩和ケアセンターが中心となった地域包括がんサポート会議 ( もしくはキャンサーボードの開催を行っていただきたい」。御議論いただければ。

○池永構成員 

患者さんや御家族が、医療従事者にきちんと苦痛を伝えることができない。

 緩和ケアセンターに関しては、拠点病院が治療中心。地域連携について重要な機能として発揮してほしい。

○小川構成員 

患者さんがいろいろ悩んでいることや困っていることを、まず、主治医がしっかり受ける、プライマリーチームが受けるという問題。もう 1 つは、必要な専門的な緩和ケアにもアクセスができる、 2 つに大きく分かれると思います。

 困っていることを話せる場がない、主治医の先生と相談できる時間、機会がないも大きい。

 モニタリングシステムで、病院全体で扱うほうが、現実的な問題かと思います。

○田村構成員 

もう少しはっきりした形での、定期的な地域とのつなぎを持った包括的なプランを考えられる、プロジェクトも考えていただけたら。

○服部構成員 

 緩和ケアセンターを作らないと指定要件が外されてしまう、病院側は取りあえず人員構成と組織図だけを作って提出。指定要件を通り、形ができた、どう機能しているかも評価。その質も見ないといけない。質をどうやって見るかではないか。<②へ続く>