2014116日 第8回 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 議事録

医政局研究開発振興課

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000066047.html

 


○議題

1.臨床研究に係る制度の在り方についての議論
2.その他

○遠藤座長 

「再生医療等安全性確保法」が成立していますので、その関係でどう考えるかを整理。

○中村補佐 

再生医療等安全性確保法との関係について

昨年再生医療等安全性確保法が成立し、今年の1125日から施行。この法律は、再生医療の安全性の確保と、適正な実施の確保による再生医療の普及促進を目的、再生医療等技術を用いた医療であれば、臨床研究についても法の対象となります。改正薬事法の中で、再生医療等製品という区分に該当しない未承認又は適応外の「再生医療等製品」を用いる臨床研究は、この再生医療等安全性確保法の規制の対象となります。 

○中村補佐 

(1)  一連の研究不正事案について、倫理審査委員会が歯止めとならなかった一方で、今後の法規制と自由な研究環境の確保、研究の信頼性確保の両立には、倫理審査委員会の果たす役割は重要。研究計画の妥当性等について、あらかじめ倫理審査委員会の審査を受けることを求める必要がある。

(2) 臨床研究に関する情報の公開等について。適切に公開されることは、透明性の確保を通じた研究の質の確保、被験者保護にとっても有用。研究実施中に不適正事案が発生した場合に迅速に対応。

 公開する内容については知的財産権の保護。

(3) 国際的な臨床研究の実施基準ICH-GCP等。その際に、モニタリングや監査等の実施は有用、

(4) 有害事象発生時の対応。速やかに倫理審査委員会に報告。倫理審査委員会については、報告を踏まえ、対応を具体的にする。

(5) ペナルティーについて。研究者、研究責任者や研究機関の長に対して、不正が発生し義務違反があった際には、直ちに法律に基づく罰則を課す、直罰規定については、学問の自由等との関係からは一義的には限定的に解される。例えば行政指導、改善命令等の是正措置、改善が見られない場合に限定して罰則を適用。

 研究機関において窓口を設置、情報収集。不正を行った研究者に対し自主的な取組を進めていただく。

(6) 産学連携の中で利益相反が必然的が指摘。資金提供等の状況について、透明性をもって管理。現在、製薬企業等が提供する資金等の開示について自主的な取組が進められている。一層の努力を求めるべき、法的規制も視野に対応を検討するべき。

研究開発に際して企業と研究機関の関係が異なる背景も踏まえ、研究開発の促進に影響を及ぼさないような配慮。利益相反の存在自体を否定ではなく、適切に透明性を持って管理公表されることが重要。今後、利益相反自体について国民の理解を進める。

.その他

1点目、専門家がそもそも少ないことが問題。専門家を養成していくことが必要。

2点目、医学生等に対する早期の倫理的教育。一連の不正事案の発生、基本的な認識が欠けていた、生命倫理等に関する教育を早期に施す。

3点目、研究自体を萎縮させることのないよう、適切な実施までの猶予期間を設ける。

4点目広告に関する企業、業界団体及び行政機関の適切な対応。今回のディオバンに関する事案は、製薬企業が広告を行い、それが患者も含め社会的にも大きな影響を与えたという事情がありました

○山口委員

広告等を通じ医療現場の治療方針に大きな影響を与えたことにも留意が必要留意が弱い、改善を図る必要があるにしたほうがいい。

○武藤()委員 

研究者に対する配慮も必要配慮とはどういう配慮なのか、厳しくするのか甘くするのか、どういうことを意味しているのかが分かりにくい。

○楠岡委員 

範囲としてどこまで考えるか。

 少し作ってみてボランティアの人に試してもらって、そして問題点を見つけて、また修正を加えるという非常に探索的な研究、明らかに人に対して行っている。そういう場合は当然まだ承認を取っていない、正に未承認の医療機器等を用いた臨床研究、強い規制がかかると、研究が一切できなくなる、

機械的にこれを適用されると困ってしまう、範囲のをどの辺りまでにするのか。臨床試験レベルか、これは法に書き込むのか、特にそこは工学系の方がすごく心配されておられる。

○中村補佐

そういう部分は無理のないものを具体的には考えていきたい。法律上の規定は、直ちにお答えできませんが、十分配慮する必要があると考えます。

○武藤()委員 

医薬品医療機器等の広告に用いることを目的とした臨床研究」という表現について、当初から広告を作ることを目的として臨床研究を立案、被験者を巻き込むように読めます。しかし、そのような臨床研究の実施は、正当化されるのでしょうか

既に研究として終了した論文などを広告に引用するときに、誤った伝え方にならないようにすることが議論。

○遠藤座長 

表現では広告をすることを目的とするという書きぶりですが、事後的に広告的な活動をしたときにどうなるのか。そこは技術的には難しい課題を抱えていますが、どこまでを広告かも含めて検討の必要があることは事実です。

○武藤()委員

現実には製薬会社では、広告に使いたいがある。だけど医療関係者は、最初はそういうことを全く考えていない。結果として広告に使われるということで、いい結果が出なければ使えないわけですから。広告を目的とした臨床研究は実際にはないと思います。

○楠岡委員 

実際は結果として出たからそれを広告に使うことが多い。中に最初からある程度広告を意図しているもの、いい結果が出れば広告に使おう、ある程度の意図があれば、最初から法規制の基でやっていただく。よい結果が出たので広告に使いたい、結果が悪くて使えない、問題は、一般の倫理指針の基でやったとき、良い結果が出たから、それを広告に使おうという、そのときにはどんな別のプロセスを経なければ広告に使えないのかという点です。では、どんなことが考えられるかというと結局今の倫理指針、監査は第三者になって、モニタリングは自主点検的、法規制が求めるほどのレベルかどうかははっきりしない、例えば広告の基になる論文のデータの信頼性等を、もう1回きっちり広告に使おうとする者が監査なり何かを行って信頼性を確認した上で使うと。

 もし、そこで問題が起これば広告に使った側の責任をある程度この法律の中に盛り込むことができれば、今回のような問題も防げるのではないか。ですから、事前届出でやるのか事後でやるのかを分けておかないといけない。

○遠藤座長 

重要な御指摘。これまでも、その種の議論、後で広告をした場合にはどうなのかがあります。基本的に最初から意図する場合だけでなく、事後的に広告として使う場合にも何らかのチェックが必要を明確にしておくべき。何かこれについて、お考えございますか。

○楠岡委員 

広告に使えないとなると、いろいろな抜け道、結果的に何のためにやっているのか分からなくなってしまう。一定のプロセスを経れば、ちゃんと広告に使える。それができなければ、あきらめてもらう。何か、それはいるのではないか。

○遠藤座長 広告に使う可能性がある場合には全部、対応するは不自然ですか。

<②へ続く>