この地域特有の、低空飛行を続ける飛行機の騒音で、目が覚めた。休日はいつもこうだ。仕事の日は、あまりに朝早いせいか、彼らはまだその活動を始めていない。今日もどこからともなくやってきて、おれの部屋の上空で、とてつもない音を放つ。カーテンを開けると、ものすごい雨が降る直前というような天気であった。薄暗くて、どんよりしていて、何とも不気味な空。テレビをつけると、サングラスをかけたおじさんが奇妙な声を発している。それはおれに、12時を過ぎたことを伝えていた。昨日、仕事終わりにコンビニで買ったカフェラテを冷蔵庫から取り出し、今日一日の自分の予定を考える。けれど、天気が悪い日は、その想像力が鈍感になる。
とりあえずおれは、コンビニに行くことにした。目覚めてからまだ、5分くらいしか経っていない。着替えもせず、起きたままの格好でおれはコンビニに行く。すれ違う木々の葉が濡れている。4人くらいの老人達が輪を作り、傘の下で笑っている。相変わらず、上空では、米軍の飛行演習が続けられている。おれは、家の鍵を閉めたか、少し不安になっている。コンビニは、晴れていようが雨が降っていようが、朝だろうが、夜だろうが、いつも同じ顔をしている。常に等身大で、期待を大きく上回ることはないが、期待を大きく裏切ることもない。
雨の日は嫌いだ。部屋の中に洗濯物を干すと、ひどく憂鬱な気分になる。心にべったり張り付いて、身体が重くなっていくような、そんな感じだ。外に出れば、半分自由を奪われたように、片方の手がふさがれる。その不自由さは、外出の理由をいくつも減らしていく。小さかった水たまりは、いつの間にか大きくなっている。やがて、雨は本降りになり、部屋の中にいても、何かを叩きつける音が聞こえてくる。相変わらず、上空では飛行演習が続けられている。彼らの演習と、天候はそれほど関係がない。
おれは部屋の掃除を始める。家具やインテリアがおとなしく、静かにその場所に佇んでいるのを見ると、なんだか安心する。窓の外の雨や、部屋の干された洗濯物のことを一瞬忘れさせてくれ、それはおれに安らぎを与えてくれる。掃除も一通り終わり、おれはソファーに座りテレビをつける。いつか見たようなドラマの再放送がやっていたが、おれはタイトルを思い出すことができない。気が付けば、おれはベッドからクッションを持ち出し横になっている。休日、昼寝をすることは、何て気持ちの良いことなのだろうと思った。おれは、テレビはつけたまま、眠っていた。何かの夢を見た気がするが、内容はよく思い出せない。しかし、最後の部分だけは何となく覚えている。何かものすごい大きな音がしておれはビックリしたのだ。その瞬間におれは目が覚めた。窓の外は、もうすっかり暗くなっている。上空ではまだ、飛行演習が続けられていた。