ニコラのお母さんから、お父さんがバカンスの行き先に選んだ地中海に魚があまりいないことを聞き、ニコラが泣きながら訴えます。

 

Ⅵ:ce n’est pas drôle d’aller à une mer où il n’y a pas de poissons

  魚のいない海に行ってもつまらないよ

 

ポイント:

「aller à la mer(海に行く)なら理解できるけど、なぜaller à une merなの」と思った人は、フランス語の相当な玄人です。この冠詞の“謎”は、しっかりと納得してもらうまで説明しようとすると、ブログを通り越して(薄い)本が出来上がってしまいますので、詳細な説明は避けますが、ざっくり言うと次の通りです。

 

aller à la merは「(普通に)海に行くこと」ですが、aller à une mer où il n’y a pas de poissonsなら、「“魚のいない”海に行くこと」になります。“魚のいない”というのがキーワードです。la merはみんなが思っている「(あの=la)海」ですが、「“魚のいない”海」というのは、仮想的な、非実在の、仮の状態の海なので、une(=ある) mer海となります(実はおもしろい フランス語の冠詞 基礎編P29参照)。

 

ちなみに:

J’aime la France mais je n’aime pas une France fermée

フランスは好きだけど、閉ざされたフランスは好きではない

 

la Franceは誰もが知っている「(あの)フランス」で、une Franceは「(閉ざされた状態の=fermée)(ある)フランス」といった感じでしょうか。

 

冠詞の話題になると、止まらなくなりそうなので、今日のところはこのへんで。