遠い昔ぼくは★大塚まさじ | key's music navi

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明日も今日の夢のつづきを

雑踏が 滅法苦手になってきたこの頃
 心が欲する さりげない温もり
 今夜も 70sへ
 
  

1. 田舎者
2. アフリカの月
3. 天王寺想い出通り
4. もう一度だけ
5. 海になった少年
6. 港のはなし
7. うた
8. こんな月夜に
9. 遠い昔
10. まだ会わぬ友(トム・ウェイツに)

大塚まさじのソロ1st「遠い昔ぼくは・・・」(1976年 ニューモーニングレコード)です。74年にディランⅡが解散しており、そこから1年半ぶりと言うことになります。プロデュースはソーバッドレヴューの石田長生で、バッキングにも参加、他にも当時の関西ロックシーンでの腕利きが集結しています。
名盤と言われることにいきなり頷かされる①は、佐藤博のピアノが基軸となって展開する軽快なオリジナルジャズナンバー。粘りけのあるヴォーカルとの融合が絶妙で、ウッドベースの乾きと石田の唄うギター、そしてウエストロードの薩摩のサックスが絡むと独特のうねりを感じます。西岡恭蔵&KURO夫婦作品②は、多くのカヴァーを生んでいます。個人的には、恭蔵さんのヴァージョンのインパクトが強すぎて、超えるものを感じないのですが、このテイクも決して悪くはなく、秀逸なのです。詞の情景が見事に浮かぶもの悲しいジャジーナンバーです。そして、なんたってこの曲③。大塚まさじのオリジナルで細野晴臣が編曲で参加している、カントリーバラッド。何度聴いても、泣きそうになるくらい、どのパートも優しく響きます。ここでは、ムーンライダースのかしぶち哲朗がドラムで、岡田徹がアコーディオンで参加していることも注目ですね。同じように優しく郷愁にかられる⑤は波音のSEからはじまりエレピとアコギをバックに歌われる物語。このシンプルさが漂わす古き時代の空気感には、まさに心洗われる気がします。長田和承のスライドと大塚まさじの弾き語りだけで構成される⑥は友部正人の作詞で、いかにもいかにもという世界観が展開されています。「男らしいってわかるかい」を彷彿させる⑧はお得意のロッカバラード。国府輝幸(鍵盤)と石田長生(ギター)っと永本忠(ベース)のソーバッドトリオのバッキングは、さすがに息ぴったりで、ヴォーカルを際だたせるには十分すぎるほどかっこいい。まるで、ちいさな場末のクラブにでもいるような気になる⑨はシュールな詞も魅力のジャジーナンバーで、間奏部分は、もっとインストで聴いてみたいほどの演奏力を目の当たりにします。最後は、タイトルにもあるように、完全にトムウエイツを意識した感があるレイジーなフォークブルース。渋いエンディングに文句なし!!

小便くさいプラットホームが道の下にある
昼間 息をころした あの路地裏には
ゆうべの女と男の 黒い秘密がある
ロマンを持った男が 泣いてるよ この街で

雨が降る 雨が降る この街にも
淋しい影 ひとつ ふたつ 道迷うながれ者
傘もささず 行方しれず 通りを抜けると
ぼくもまた 雨に降られ 迷う 天王寺

はじめて君に会ったのも 雨のこの街で
たしか 想い出通りの 古いコーヒー屋
冷えた身体 あったかコーヒーで 温めあった
今日も誰か めぐり合い 別れる この街で

今日も誰か めぐり合い 別れる 天王寺