今、世間を騒がせている『カリスマ・ホスト殺人事件」。
ホスト業界で「西東京のカリスマ」と呼ばれていた土田氏は、
2010年11月25日、忽然と姿を消した。
ここから推理小説を地でいく猟奇殺人事件の幕が上がった。
捜査線上に浮かんだ数名の男女。
捜査1課は交友関係や金銭トラブルを徹底的に調べ上げ、
玄地、阿部両容疑者の存在を突き止めたのだ。
しかし、物証が薄く、事件が単なる失踪になりかけた時、
小さな人工歯根(デンタルインプラント)の発見が、
集団によるカリスマ・ホスト殺人事件への大きな手掛かりとなった。
『東京都西部の檜原村の山中では土田さんの壊れた携帯電話が見つかり、
捜査1課は昨年7月に2人を器物損壊容疑で逮捕。
2人とも「土田さんの行方は知らない」と主張したまま執行猶予付きの有罪判決を受けたが、
裁判官が「他の何らかの犯罪との関わりについて疑念を払拭できない」と異例の言及をしていた。』
だが、動機はあった。
『玄地容疑者は土田さんからホストクラブの経営権を譲渡され、
内装費を要求されていた。阿部容疑者は土田さんのキャバクラで客引きをしていて摘発され、
店が営業停止となった責任を問われ、百数十万円を支払うように迫られていた。』
水商売で、ありがちな金銭トラブル。
土田氏も身の危険を感じていたという。
知人に「丸1日連絡が取れなくなったら警察に相談してほしい」と話していた。
『捜査1課の捜査では玄地、阿部両容疑者が家族や知人を巻き込み、
土田さんの遺体を損壊、遺棄した構図が浮かび上がる。
土田さんの失踪直後、玄地容疑者の元妻の紗希(28)、妹の栄美(28)の両容疑者が
強アルカリ性の業務用パイプクリーナーを大量に購入。
土田さんの遺体を秀樹容疑者宅の浴槽につけて溶かし、汚水槽に流したとみられる。
クリーナーは髪の毛や油脂を溶かす成分が含まれていた。
捜査幹部は「土田さんの無念の思いが、インプラントを汚水槽にとどまらせたのだろう」と話した。』
<玄地栄一郎容疑者>
事件の全容は解明されつつある。
『ホストクラブ元店長の玄地栄一郎容疑者(31)や元従業員の阿部卓也容疑者(26)ら7人は、
2010年、八王子市内で元経営者の土田正道さん(当時43)の遺体を捨てた疑いなどで20日に
送検された。その後の捜査関係者への取材で、土田さんが行方不明になった当日、
阿部容疑者の元妻(28)が大型のケースを用意していたことが新たに分かった。
土田さんの遺体を運ぶ際に使われた可能性もあるということ。さらに、玄地容疑者が
土田さんから毎月50万円の上納金を要求されていたことも分かった。
また、阿部容疑者も土田さんとの間で金銭トラブルを抱えていたとみられている。
警視庁は、土田さんが死亡した経緯についても調べる方針。』
金と欲望にまみれたホストの世界。
栄華を極めた金が、カリスマ・ホストの人生を狂わせたとも言えよう。
だが、殺されたとなれば、彼も被害者。
その無念と、この世に残した未練が、
小さな人工歯根に乗り移って事件解決の糸口となったのだ。