長女ガルは現在、ジュネーブ州の現地校の中学１年生。
ジュネーブ州の公用語はフランス語ですが、小３からはスイスの第一公用語のドイツ語、小５からは英語（外国語）を学びます。
そして中学生になると今度は「ラテン語」が始まりました。
ソニック 「おおお～！我が子がラテン語を習うなんて～！いかにもヨーロッパのインテリゲンチャ（知識人）っぽいじゃない。かっこいい～♪（ミーハー）。ガルの宿題を見て初めて知ったんだけど、ラテン語って日本語と同じように主語を省略する傾向があって、特に1人称主語は省略するんだって。だから『来た、見た、勝った（Veni, Vidi, Vici）』なんだ～」
ロット 「『来た見た買った』は喜多商店のCMだろ！ラテン語なんて死語だよ死語！本当に無駄だよな。」
ソニック 「日本なら古文漢文を習うんだから、ヨーロッパではラテン語が『古典』なんでしょ？」
ロット 「古文漢文と同じくらい無駄！歴史も無駄！文系社会学系科目なんて学問じゃないよ。理系科目、まあ、生物学とか医学も学問じゃないから、無駄な科目を全部削って数学と物理の時間をもっと増やすべきだ。」
ソニック 「確かにロットにも思想信条の自由はあるからロットがそう『思う』のは自由だわね。でも、ロットの専門以外をバカにするような偏見をガルの前で言うのは教育上良くないんじゃない？」
（ロットがバカにしている歴史や公民で学んだことを鑑みれば、ソニックには「ロットがそう思う自由」自体は否定はできません）
とはいえ、中学2年生以降の「コース（コースにより、選択必修科目が異なる）」をそろそろ決めなければなりません。
4歳（年中）から義務教育が始まるジュネーブ州では、中学2年生は第10学年となります。
今のところのガルの成績ならばLSグループに進級できるので、選べるコースは以下の３つ。
L ラテン語（LATIN）コース
毎週1時間分のフランス語（国語）を削り、追加の3時間分との合計4時間をラテン語の勉強に充てます。
LV 現代語（Langue vivante）コース
毎週2時間のドイツ語と、1時間の英語を追加します。中３からは2時間ずつになります。
S 自然科学（Scientifiques）コース
毎週2時間を物理、残り1時間を「理数的アプローチ」に充てます。中３からは生物が2時間、「理数的アプローチ」が2時間になります。
ガル 「担任の先生はラテン語推しなのよ。だって、将来、教師や医者、法律家になるにはラテン語が必修なんですって。先生は中学時代はラテン語に興味が無くて自然科学を勉強していたんだけど、教師になりたくなった時に『ラテン語の履修時間が足りないからこのままでは教師にはなれない』と分かって、大学時代に必死でラテン語を勉強したんだって。」
たとえ数学や物理の先生でも、「教師」になるにはラテン語必須だそうです。
ソニック 「なるほど、教師に限らず、お医者さんや弁護士さんみたいな、『先生』と呼ばれる職業に就くにはラテン語が絶対に必要なのね。」
ガル 「でも、ガルは将来は日本の大学に行って、日本で就職したいの。それならラテン語は要らないよねえ・・・。」
ロット 「ラテン語やるくらいなら英語だよ、英語！」
ガル 「英語を選べって言われても、ドイツ語とセットなのよ。ドイツ語、日本で使う？」
ソニック 「ドイツ語がスイスの第一公用語なんだから、スイスに永住するなら大事だとは思うわよ。パンデミック騒ぎの時も、スイス政府は最初のうちはすぐにフランス語情報（第二公用語）やイタリア語情報（第三公用語）も文書で発表してくれてたけど、終わりのころはドイツ語の動画しか無かったもん。でも日本では・・・将来、ホテルのフロントで働くとかなら使うんじゃないかな。」
ロット 「これはもう、自然科学一択じゃないか？」
うーん・・・・。
語学は努力を積み上げればそれなりに成果が出ますが、物理って、「分かる」か「分からない」かの二極なのよね。
長男ザーは理数系科目が好きでしたが、ガルはさほど好きには見えません。
中学の物理レベルならまだ分かりやすいので、ガルも分かってくれる、分かってほしい、と思ってはいますが、「分からなかった場合」のリスクが大きすぎるので、迷ってしまいます。
ガルの将来を考えると、物理の勉強にはロットが本気で付き合うことが必要になるでしょうねえ。
家庭教師の先生方は基本的には「フランス語」や「ドイツ語」「英語」を見てくれています。
「日本語補習校の宿題」はもちろん、「（ロットが無駄だとバカにしている）歴史や地理、古典の宿題やテスト勉強で、家庭教師の時間内では手が回りきらなかったもの」を見ているのはソニックです。
この上物理まで見るのは、それこそ「物理的に限界」だから！
ロットもガルの日常的な勉強に付き合って父娘間の信頼感を育てたほうがいいわよ。
それにしてもコース選択、本当にどうしたものか・・・。