講演を聴いて、
とても感動する体験をしました。
しかも通訳をはさんで。
 

東京大学伊藤国際学術研究センター会議 2018年ノーベル平和賞 デニ・ムクウェゲ医師来日講演会 「平和・正義の実現と女性の人権」


↑東京大学のサイトに飛びます。

ムクウェゲ医師のことは、ドキュメンタリー映画『女を修理する男』の告知記事で知っていました。
映画は観る機会を逸していたのですが、来日講演ということで行ってきました。
 

入場するのに、セキュリティが厳しい講演会でした。
顔写真入りのID提示、液体はペットボトルも水筒も持ちこみ禁止。
大きな荷物と傘は預ける。手荷物も中をチェックする。
 
命を狙われるような医師とは?
 
ムクウェゲ医師とコンゴ共和国の状況についてはこの記事に概要があります。

ノーベル平和賞が問いかける日本の鉱物と紛争の関係
(東京大学 2018年)

 

今回の来日での10/3記者会見書き起こし

 

ノーベル賞受賞のムクウェゲ医師 紛争下の性暴力根絶「日本も出資を」
(毎日新聞)


ムクウェゲ医師 「性暴力を戦争の武器とすることは人類の恥」
(NHK NEWS WEB)

 
と、これらのリンク先を読めば情報はわかるのですが、
やはり同じ空間に居て、長年尽力してこられたご本人が揺るぎない言葉で語るというのが
本当に、「情報」ではないものをガツンと受け取れるものだのだと体感しました。
(自分も講演の機会をいただく際に、このようなほんものさでもって伝えられるようになりたい、と強く憧れます)
 
内容としては上記の会見書き起こしを読んでいただくとほぼ共有できると思うので
ここからは私の心に響いたことを。
 
虐殺や組織的な性暴力によって、コミュニティが破壊される

紛争がおさまった後にも加害者が不処罰・被害者が保障されない

倫理の崩壊

さらなる暴力被害を生んでいる
 
この構造。
なぜ暴力が起きているか?
鉱物をめぐって、武装勢力が利権を搾取している。
それを先進国が安く買っている。
PCや携帯の原料となる鉱物は先進国で採れるわけではない
レアメタルの産地である国はその豊かな資源の恩恵を受け取っていない。
 
これは、一部地域の話ではない。
女性だけの話でもない。
人類の危機である。
他の人の苦しみに無関心であること、経済が命より重要であるという考え方は
人類の問題である。
被害者の治療、手術室だけでは解決しない。
だからヨーロッパや国連、主要7か国で講演を続けている。
 
会場から質問が出ました。
「なぜコンゴ共和国は搾取され続けるのでしょう、
なぜ主体的な政治、民主主義が育たないのでしょう」
 
ムクウェゲ医師の答
「アイデンティティを破壊され続けているからです。
受け身に搾取され、貧しさをつくるシステムにからめとられている。
車が発明され、ゴムの生産をするときには
労働者が生産量が低いと手を切られるといった支配の中にあり
ウランの恩恵もコルタンもすべて国境の外に利益が流れる。
兵器としてのレイプが、組織的に、家族やコミュニティの目の前で行われ、
彼らのアイデンティティは崩壊する。
民主主義にはアイデンティティが必要なのです。」
 
この言葉がずしりときました。
日本は民主主義の形をとりながら、
アイデンティティを育てない教育のために、
実情は・・・・?
 
もうひとつ、
「主要7か国ができることは?」という問いがありました。
 
「性差別をなくすこと。
女性のリーダー、意思決定機関に女性を参加させていくこと。
性暴力をなくす。
平和な国で性暴力があることが、紛争地域でそれを武力として使われることにつながる。」
 
紛争地域の暴力をなくす、という話でなく
それぞれの国で
平常時から性差別や性暴力がない社会をつくっていくこと。
そうか、普段感じている、身近な問題と地続きなことなんだ。
私の中で一気につながっていく感覚がありました。
 
最後に出た質問
「司法が機能しないことによって、加害者が罰せられないという話があったが、
日本では法治国家で司法も機能しているはずなのに、
伊藤詩織さんというジャーナリストが性被害に遭い、
加害者が逮捕直前に阻止され不起訴となるということがあった。
これをどう思うか」
 
ムクウェゲ医師の答
「それこそが、世界でおきていることだ。
被害者が黙らされる。訴えてもムダだと思わされる。
訴えたときに2度目の雪辱を受ける。
 
男性にこそコミットを呼びかけたい。
ポジティブなマスキュリニティを発揮しましょう。
男性も、平等のために闘いましょう。人類のために。
恥と烙印は、加害者に移動します。
パラダイムシフトはそこまできています。
声をあげる女性をサポートし
人類に尊厳と権利を取り戻すのです。」

 
心に響くとともに、
私の中でずっと傷つき、諦めてきたことが、
救われ、癒され、認められた、
大きな父性に包まれるような気持ちになりました。
 
少なくともここに1人、確実に
人類のために闘ってくれている人が居る。
この現実感。
私も、希望を捨てずに、行動する。
これが、エンパワメントなんだ。
 
今回の来日講演に参加できて、本当によかった。
ムクウェゲ先生、
この来日講演に関わったみなさん、
この会の存在を知らせてくださった白井先生、SNS、ありがとうございます。
 

記念品の贈呈で、東京大学の法被が贈られていました(笑)
 
講演後、興奮さめやらぬまま、
参加されていた先生や女性にまつわる活動・実践家のみなさんと少し立ち話。
 
その後、たまたま約束していた聖子さんとお茶しながら、
本題とは別に、すぐさま今きいた講演の感動を伝えました。
 
夜に、リスママの仲間とオンラインで話す機会があったので
そこでも熱く語り
 
昨日はブライト・リスニング本講座を開催したので
そこでも話し手のときに熱く語り。
 
そしてここでも書いています。
本当は、実際に講演の場に居て欲しかったとしても、
それは叶わなかった人へ、私ができること。
 
感動は、人を動かす。
このシェアが、あなたにも何か勇気や希望のおすそわけになりますように。
読んでくれて
受け取ってくれてありがとうラブラブ