*退院してすぐ書いて忘れてオクラ入りしてた記事がありました。相変わらずしょうもない内容です。
5人目にして4回目の経産婦は
ラクに出産出来ると思われる様だが
PEZみたいにスムーズな出産などはなく
平素は4㎜程度と言われる子宮口を
徐々にこじ開けながら
約50㎝の赤ちゃんが出てくるのを
半日もしくはそれ以上かけて行う訳で
ピアスホールの0G拡張も真っ青、
だからラクと言うよりは
場数を踏んだから出る落ち着きが
多少あるくらいで
最初の2回は余りの痛みで
歯を食い縛って力を込めすぎて
歯は欠けるし顔や首に内出血が出来たが
痛い痛い痛い!!
ってのを呼吸に絡めて吐く、
これを何時間か繰り返すのは
何とか出来る様になった。
そして一部に横行する勘違いで
「帝王切開は産みの苦しみがないから普通分娩よりラク」
これは帝王切開未経験の私でも
絶対ねぇわと思う。
カレンダーで指切ってあんだけ痛いのに
表皮から内臓までメス入れて
ラクとかまずなかろうよ。
敢えて言うなら激痛が来るのが
分娩中なのが普通分娩、
出産後なのが帝王切開
……なのではないかと思うが
人間は喉元過ぎたら忘れる機能があるので
事故で怪我した時同様に
「凄い痛かった」って記憶はあっても
フラッシュバックする様な事は
私の場合は今のところない。
ただ、ヌシの出産時刻は
1時00分となっていて
ヌシがズルッと私の胎内から出た時
分娩室の壁のデジタル時計の文字が
1時00分00秒になる瞬間が見えて
何か妙な達成感があった。
で、だ。
今回の出産で唯一腑に落ちないのが
分娩室に来たキューティの言動だった。
前回は子供達が小さかったから
「起きてくれキューティ、陣痛来たからちょっと行ってくる、子供達を頼む」
って1人でタクシーで向かったが
今回はキューティが送ってくれた、
そこは素直にありがとう。
荷物も持ってくれたのもありがとう。
しかし、だ。
分娩室に入るなり
ソファーに腰を下ろして
脚を組んでスマホを見始めた。
まぁいいや、私も着替えて
言われた通りにチェックをするが
キューティは相変わらず寛いでいる。
痛い、まだ我慢出来るけど地味に痛い。
「うわー」
「ん?」
「おぎやはぎのヤサクって人さぁ」
「荻谷さんと矢作さんでおぎやはぎだぞ」
「あ、ヤハギって読むんだこれ」
この辺から段々、私はイライラしてきた。
何で奥さんが陣痛きてるのに
話題がおぎやはぎなのさね。
すると小動物みたいな動きで
クシャミ一発かまし
「俺、今ね、風邪気味なんだよね」
「子供達もいるし早く帰った方がいいんじゃないかな」
「帰って大丈夫?」
「大丈夫、気をつけて帰りなはれ」
いても何も出来ねぇだろ
……まぁ送って貰ってそれはないな、
飲み物もペットボトル用のストローも
こうして買ってきてくれたんだしさ、
そこは飲み込んだ。
陣痛の痛みは産後アッサリ忘れるのに
産前産後のイラッと体験は
何故か尾を引くモノだが
とりあえず恒例の「陣痛なう🙌」を呟き
スマホの電源落として
まだ見ぬ子供と無言の共闘姿勢を取る。
サッサと終わらせような、安全に。
因みに分娩中から退院するまで
私はアクエリアスゼロしか飲まない。
何故なのかサッパリ解らないけど
最初の出産の時からずっとそう。
だからキューティも来る度に
お菓子やら何やらに
必ずアクエリアスゼロを差し入れてくれる。
重いのに申し訳ない。
しかし熊本の個人の産院つーのは
ホテルとか高級レストランみたいな
そう言う内装に設備のところが多くて
特にゴシとヌシを産んだこの産院系列は
産後2日は部屋に持ってきてくれたにせよ
お食事もとにかく毎日コース料理状態。
過半数の人が毎食、
食べる前に撮っているのは見たが
気持ちは何か解る気がする。
「本日はティーパーティーを行いますので来れる方は是非」
「ティーパーティー?」
聞き間違いかと思いつつ下の食堂に行くと
みんなスマホを構えてて
理由は納得、私も思わず撮った。
石焼き釜の前にこんなのあった。
いや、ガチのティーパーティーだった。
上では母乳に関する指導で
「糖分脂肪分の多いモノはなるべく避けて……」
とか散々言われるのに
食事に降りればシェフが満面の笑みで
「本日のメインはお好みのトッピングで窯焼きピザとオムライスです!!デザートは木苺のフロマージュに……」
ここは助産師さんとモメるところらしい。
「ここのレストランはおかしい」
って憤っている助産師さんも確かにいたが
シェフの方と話したところによれば
「出産と言う大変な事を乗り越えたのだから精一杯もてなしたい、入院中の何日くらい美味しいものを好きなだけ食べても大丈夫!!」
だからメニューも盛り付けも
女の人が喜ぶ様なものに敢えてしてるのな、
あれだけの人が歓声をあげて
毎食写真に撮ってるなんて大成功だよね、
食べるに徹する私も思ったけど
下手なホテルディナーより美味しかった。
「怒られるからこれでも遠慮してるんですよ」
そのシェフの心意気で何人の女の人が
産後数日間の入院中に幸せを感じたか、
素直に偉業だと思った。
居合わせたお母さん達と話すのも
毎食すごく楽しかった。
そして退院前日には
家族1人を呼んでのシェフの本気ディナー。
1人2000円プラスすれば
家族は何人か呼んでも良いらしく
食事処でアニマルライクな動きするのは
今のところいないから大丈夫かな、
じゃちょっと奮発……と思ったんだが
私が出産した日は9人生まれた日と聞いて
席数を数えて諦めた。
残念だがワガママ言えないよね、
実に3家族分の席を占領しちゃうし……
お義母さんが来て下さってるのに甘えて
夫婦で久々に外食気分としけこむ事に。
キューティは前野幼稚園の入園式で
出張帰りの恰好である
ネルシャツにジーパンで行って
場違い感を感じたのが
未だに心残りらしく
「あの、ディナーって普通のカッコでいいんだったよね?」
「いやいやいや正装に決まっとろうが」
と言ってみたのだがひっかからなかった。
バイオハザードの洋館のを小規模にした様な
瀟洒な中庭がライトアップされ
キャンドル挟んで
ノンアルコールのスパークリングワイン、
病院でこんなん出来るとか凄い。
「結婚前はこういうとこにチョコチョコ行ってたよね」
「子供が望むなら探して行こうか、でもキューティはメインよりスイーツ目当てだよね?」
そんな話をして和んだ。
因みに洋食でも苦労しない様に
娘達には2歳からホットケーキで
ナイフとフォークは
仕込んでおいたんじゃが
発揮する機会ってのが
ステーキガストくらいしかない。
「キューティ、切ってやろうか」
「大丈夫だよこのくらい切れる」
「毎晩そのくらいギシギシ言わせればいいのに」
「何の話?馬鹿じゃないの?」
「はいあーーん(真顔)」
「結構です」
つれねぇな、相変わらず。
「何かもっとこう、出産終えた奥様に労いの言葉みたいなのは」
「うーん……でもねぇ、5人目ってなると薄れるんだよね、慣れちゃうって言うか」
「私は5人平等に痛かったんだが」
「……そっか、そうだね」
「ダブルフィスト、想像してみ」
「もー……」ゲンナリ
「思い出せ、双子が生まれた時を!!」
みたいな感じで実は終始
私からのセクシャルハラスメントで
キューティ的にはお腹一杯
♯ME TOO状態だったのであろうが
食後、顔見知りになったお母さん達からは
我々は傍目に見て
非常に仲良しだと言う事になり
何故かキューティが概ね高評価で
5人目だと感動もそうないそうだよ、
って何だか少しションボリした。
若い旦那さんいいなーって
四十過ぎてるっつの、
もうすぐ2人合わせて80だっつの。
でもって5人目にして
後産はめちゃくちゃキツくて
「産んでも陣痛か!?」って痛みが
夜中にジワジワ来たりして
築35年の身体が悲鳴を上げていたが
ある日、自分の呻き声と
下腹部の妙な摩擦で目を覚ますと
下目遣いのキューティが
私の腹を円を描く様にさすっていた。
「痛いんでしょ、お腹」
「うん……何かさ、前にもこんなことあった気がする」
「そうだっけ」
「まだ会って間もない頃だよ、事務所のソファーで寝てた時にさ」
「……忘れたよ」
「そっか、じゃあ説明しよう」
「元気そうじゃん」
「いやいやいや腹が磨り減るくらいに頼む」
分娩室のヤサク発言も
5人目だと流石にねぇ発言も
こんな単純な事で払拭される。
江戸川乱歩の芋虫の旦那さん気分。
されたことの程度も違うが
「ユルス」の呪文が発動。
我々夫婦はこうして
お互いに蹴躓いてはユルスを続けたり
あの人言いだしたらなぁって諦観で
10年以上やってきたんだと思った。
まぁ……程度モンとは言えど
された事だけ四の五の言ってたら
人間関係、特に夫婦なんて続かない。
ほんの些細な事が心に根を張り
人間関係は破綻していく。
「そんな事で?」と思われて
然るべき事でも
言われた方の地下茎は
根菜レベルに育ってしまう、
「いやでもこんな事してくれてるし」
って感謝の気持ちを忘れて
してくれない事や出来てない事だけを
浮き彫りにして苛立ち始めたら要注意だ。
「その顔じゃなきゃシメ落としてるわ」
って思っちゃう時もあるけど
向こうも何らか思ってるんだろうし。
