『苦しみの日々 哀しみの日々』茨木のり子より

 

 苦しみの日々 哀しみの日々

 それはひとを少しは深くするだろう

 わずか5ミリぐらいではあろうけれど

 さなかには心臓も凍結

 息をするのさえ難しいほどだが

 なんとか通り抜けたとき 初めて気づく

 あれはみずからを養うに足る時間であったと