深夜廻~ネタバレ~ | とある真秀場の複合媒体

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適度にブログ更新中~

前作の夜廻の二作目、深夜廻

 

小説が発売された、という事なので、さっそく読んでみてアレコレ書いてます

 

一応ネタバレとはなってますが、小説でもあまりハッキリとはその正体について明かされていないので、本筋部分の所は考察みたいなものになってます

 

あくまで一つの考え方としてのものなので、無理矢理でも辻褄が合うようにしてますので、これが結果! というわけではなく、やはりゲームや小説などに目を通した方の考えによりますね

 

是非ともゲーム、そしてその後は小説を読んでいただくと楽しめると思います。

 

『登場人物』
【ハル】
今作の主人公。カーキ(枯草)色の髪に青のリボン、背中にはウサギのナップサック。
ある日、木から落ちているセミを見つけ、助けようと手を伸ばすもそれが出来ずにいたところを、ユイに声を掛けられ、出会う。それ以来、毎日遊ぶようになる。
幼いころから霊感が強く、よく何かが見えおり、その影響からか、山にいる何かに呼ばれるようになる。
山にいる何かに呼ばれた後、ユイにより救出される。その時の記憶は失っていたものの、真相を知るために山の奥へと消えたユイを辿っていく中で記憶が残像として映り、ユイとの絆を断ち切るため、自身の左手を供物としてコトワリさまにより断ち切ってもらった後、最後は薄れゆく意識の中で全てを思い出した。

 

【ユイ】
ハルの遊び仲間。茶色の髪に赤のリボンを後ろで結い、背中にはハルと同じウサギのナップサック。
セミの一件以来、ハルと遊ぶようになる。
気の弱いハルとは正反対の性格をしており、活発で何事に対しても行動で示すタイプ。
その性格もあり、ハルにとってはとても頼りになる存在だった。
しかし、それはあくまでもハルに対して不安にさせない為の、弱い自分を見せずにいる姿であり、本当は父が二年前から失踪して以来、シングルマザーとなった母親から受ける冷たい対応に自身の存在意義を無くしかけていた。
唯一、心を繋ぎとめていたのは、ハルとチャコ&クロの存在だったが、ハルの引っ越しと更にクロの死も重なり、目の前から消えていく喪失感から、山の声に導かれ死を選んでしまう。
死後、幽霊となったハルは自身の死んだ記憶を失っており、ハルと共に最期の花火を見にいくも、その途中で山にいる何かにより連れ去られてしまう。
その後、自身の立ち寄った思い出の場所を無意識で巡り、ハルと出会った際には既にこの世に居ないことを知り、失った記憶の真実を探すため、山の奥を目指す。
最期は、山の何かに意識を乗っ取られるも、ハルが絆を断ち切った為に解放され、左手の無くなったハルを連れ山を下りていく。

 

【ユイの父親】
考古学者。山に関して色々調べていくうちに、禁忌と呼ばれるものに出会ってしまい、山にいる何かに狙いをつけられる。
当初は強い意志を持ち、その声に対し抵抗していたものの、執拗な呼びかけと、家族をも道連れにするという選択肢を突き付けられ、ついに心を折ることになる。
せめて、家族だけでも救いたいという思い、コトワリさまに対しその絆を断ち切る為に、自身の左手を供物として捧げた。
断ち切られた左手は音声を録画する為のレコーダと共に道路へと残り、後にレコーダを拾ったハルに対し思念として独り言の言葉をただ語り、ユイの前には白骨死体として現れ、その命を絶つ瞬間を残像として表した。

 

【ユイの母親】
家事や掃除など小まめな性格。しかし、父親の失踪後、シングルマザーとなり、夜遅くまで働く生活を繰り返す中で、生活と心が徐々に荒れて行き、ついにはユイに対しても愛情を捧げるという表現をも薄れさせていった。
ユイの死後、捜索願いのポスターを張り帰りを待つも、その願い届かず、幽霊となったユイの前で一人、何度も謝りながら泣き叫び続けた。

 

【クロ&チャコ】
ユイにより拾われた犬。クロは積極的性格で人懐きもいいが、チャコは人見知りで隠れてしまう性格。
ハルが山へと消えた際は、ユイともに助けにいくも、クロだけが殺されてしまう。
クロの死後はユイと共に行動していたチャコは、ユイにより離れ離れにされてしまう。
その後、チャコはユイを探すハルと合流し、その行動を助けるように二人を引き合わせた。
最期は、山を下りるための希望、ユイとハルの帰りを『おかえりなさい』と迎えてくれるようにハルがお願いをし、その言葉の通り、山の入り口で二人の帰りを待ち続けていた。

 

【コトワリさま】
ダムに沈んだ村の近くで祀られていた神様。漢字での表記は理。
縁を断つ為の存在であり、主には『その人にとって』の悪縁を断つ。
そのため、あまり良い願いが多くないせいもあり、見た目も大きな赤いハサミに、黒い影からそれを掴むために伸びる幾つもの手と大きな二本の指の姿をしている。
村がダムに沈んだ事により、信仰は衰退。神社も荒れ果ててしまった結果、そこに縛り付けるために地面に敷き詰めていた人型の石の結解が解かれ、更には噂話も広まり、町にも姿を現すようになる。
『もういやだ』という言葉が合図となっており、それを口に出すと姿を現し、その人を縛っている縁を断ち切ろうとハサミを動かす。回避する方法は人型の供物をささげ、それを身代わりにする事。
しかし、あくまで悪縁を断ち切る為であり、それ以外の縁、絆などに関して断ち切るには、例外として左手を供物として捧げる必要がある。
道中ではカラスなど腹を裂いたりなど、一見無差別で残忍な性格にもみられるが、あくまでその物を縛る縁を断ち切るのが目的であるため、断ち切る際は代わりとなる供物を捧げるかどうかを待ち、判断する。
最期は、ハルの願いで、蜘蛛のようなものの声を断ち切り、供物として目の前にある地蔵を壊しては道を示し、そして自身をそこへと運んでもらうために、赤のタチバサミを託した。

 

【山の何か『蜘蛛のなにか』】
山の奥にある洞窟に潜む何か。
姿は痣がついた大きな骨のような二つの脚に、人の体や頭などを重ね蜘蛛のような形で穴から見え出る半身。頭部の目元には互いを絡めた指が塞がり、小さな目玉が幾つも散らばっている。口には頑丈そうな歯が並び、耳元には広げた両手にそれぞれ目玉が一つあり、左手にある目が潰されている。
正体は全くの不明とされており、何も明かされてはいない。
しかし、道中にある幾つもの地蔵と朽ちたしめ縄から、コトワリさまのように祀られていた存在ではなく、遠ざけられていた存在である。
人の心の隙に入り込み、寂しさを埋めるような同情などの言葉を投げかけ、その人物を自殺に追い込もうとする。さらに特徴的なのは人との繋がりを利用するため、その人だけでは留まらず、周りの人までも山へと誘い込もうとする。そのせいか、行方不明になる人達は一人ではなく、複数人になる。
洞窟内に赤い糸を纏わりつかせ、更に自身の体にも巻きつき、そして深く続く穴の天上でその体を吊るす。
赤いの糸は繋がりを示すものであり、血縁などの血を意味する可能性が高く、自身の体に纏わりつかせる理由としては現世に保とうとするため。
最期はハルの持つコトワリさまのハサミにより断ち切られてしまい、底へと落ちていった。

 

【図書館の鏡】
ダムに沈んだ村から見つかった幾つもの古代品の一つ。
図書館の地下の展示コーナー飾られ、いつも布が被されている。
一度その鏡を覗いてしまうと、中から同じ姿をした顔のない自身が現れ、鏡の中へと取り込もうとする。
ユイは一度触れた事があるらしく、それはハルを探す際に触れたと思われる。

 

【廃屋の柱】
大きな廃屋の中心柱に巣くうモノ。そこに住む家族を呪い殺す。
木造の家の為、と山から持ち込まれた木材を使用して作られた木の可能性が高く、そのものが憑かれていたと思われる。
ポルターガイストなどの現象を引き起こし、ハルを襲うも、最後はぶつけようとしたロウソクを逆にぶつけられ炎上した。

 

【ゴミ山にいる女の霊】
廃電車にいる女の霊。
死亡した理由は語られていないが、レールもないのに捨てられた電車から事故死の可能性が高い。そのため、捨てられた電車と共に地縛霊としてその場所に留まる。
姿としては、穴の開いたような真っ黒な目と口からは血が常に流れ続け、血の雨が頭上から絶え間なく降り注ぎ、サムイ、タスケテ、イカナイデの血文字を地面に書きなぐる。
最期は川を隔てた橋の先へとは進めず、悲痛の叫びをあげ続けていたが、近くに落ちていた赤い傘をハルがさしてあげて、姿を消した。
常に雨が降る理由としては、雨降りに死んだのか、それとも流れる血が雨となり降っているのかは不明であり、そのため、サムイなどの言葉は雨降りに放置された為なのか、それとも血液が無くなっての体温低下によるものなのかも不明である。

 

【隣町の目玉の沢山ついた毛糸玉】
廃工場と商店街を繋ぐ橋から現れた目玉の沢山ついた毛糸玉。
突然、『オイ!』と後ろから声を掛け、振り向いたものを狙い手を伸ばして襲ってくる。
その正体は分からないものの、辺りにいる見えない何かも怯えている事から、周囲のモノを何でも取り込む何かの集合体の可能性が高い。
尚、執拗に追いかけてはくるものの、商店街近くにあるムカデの神社には弱いらしく、その場所に近づいただけで、震えて消えてしまった。

 

【ダムにいるネズミ】
ダム内部にいた小さな幾つものネズミ。
上部屋外では巨大なガイコツの姿となり、ハルを襲ってくる。
その正体は、昔、村が沈められたときに一緒に沈んだネズミの霊。
ダム関係者を次々と殺し、山積みにしては白骨化させるまで放置した。
ガイコツとして現れるのは、死に対しての直接的な訴えであり、人にとってもそれを連想させる悪夢でもある。
問いかけられる質問に関しては、その答えはあくまでも無く、ただ単に、『お前たちが殺したものが何であるか分かっているか?』という、罪意識を問いかけるものであり、言葉の文脈がチグハグしているのは人の言葉を無理矢理にでも口にして伝えようとする表れである。

 

ワタシはするどい牙があるか-壁に穴を開けると思うか?
ワタシはツバサがついているか-壁を飛び越せると思うか?
ワタシは大きな鉤爪を持っているか-壁をよじ登れると思うか?
ワタシは何者か、知っているか-私達がどんな存在なのか知っているのか?

 

『あらすじ』
ある村に一つの神社があった。
その神社の神様は、理様と呼ばれ、ありとあらゆるモノの断ち切っていた。
例えばそれは、病気や災害、そして時には人の縁や遠くに行ったモノの縁など。
人の姿に模った紙を供物とし、そこの人々は自身の邪魔になるものを悪縁として、断ち切ることを願い続けた。
そんなある時、村はダム開発の為に水没することになる。
信仰が無くなり、荒れ果てていく神社。唯一神を縛り付けていた結解は廃れ、そしてコトワリさまは外へと飛び出していった。

――――
あるところに、二人の少女がいた。ハルとユイ。二人はいつも仲良く遊び、そして空き地に捨てられていた二匹の犬のチャコとクロと一緒に遊んでいた
いつまでも続くと思われた光景、しかし、ある日ハルが引っ越しをすることになった。
その事を聞かされたユイ。もう離れ離れになり会うことが難しくなると寂しさに打ちひしがれる中、せめて別れる前に楽しい思い出を作ろうと、隣町で打ちあがる花火を見ようと山へと誘うことになる。
打ちあがる色とりどりの花火、それはまるで今の自分たちの心境に合わせるように打ちあがっては消えてを繰り返していた。
花火が終わり、二人は暗い山道を下りることになる。
その道中、突然聞こえる声に、ハルは怯えてしまう。そのハルの姿にユイは安心させる為に、自ら周りの様子を見てくるとして先へと歩いて行った。
だが、しばらくしてもユイが帰ってはこない、ハルは心配し、辺りを探すもユイの姿はなく、代わりに奇妙な何かの姿を目にすることになる
ハルはユイがその何かから自分を守る為の準備として一度家に帰ったと思い、入れ違いにならない為にも急ぎ家へと向かった。
しかし、ユイの家には誰もおらず、どうしていいのか分からないでいる中、突然チャコが現れ、ハルを誘うように走り始めた。
チャコを見失い、勘のみで町を彷徨う中、チャコと再び出会い、そして以前訪れた山道にてユイが残した手紙を見つける。
それを手に取り、読もうとした瞬間、近くに潜んでいたよまわりさんに連れ去られ、隣町の廃工場へと閉じ込められてしまった。
なんとか無事に脱出をし、今度は黒い毛玉に幾つもの目玉がついた何かに追われながらも、その途中で出会った赤いリボンの少女と共に商店街の近くにあった神社に救われ、そして山道へと戻ってくる。


チャコが大事に持っていた手紙には、ユイはすでに幽霊となりその真実を知る為に山へ行く、と書かれていた。
後を追い、急ぐハル。そしてその道中にユイの姿があった。
すぐさまユイの体に抱き着くハル。しかし、そこには温かみのある体温はなく、まるで冷水に浸かったような冷たさだけだった。
ハルを呼びかけるユイの言葉が、まるで壊れたレコーダーのように同じ言葉をと名前を繰り返し、そしてユイの姿が変わった。
頭部にある目玉の左側だけが大きくなり、そしてハルを捕まえようと赤黒い根のようなものを伸ばしてくる。
掴まれるハルが必死にユイへと呼びかける。すると、突然ユイの声がいつものユイに戻り、その姿を消した。
更に奥へとユイを追いかけるハル。


山頂にて、クロの墓とユイが拾った誰かに呼んでもらう為に飛ばした紙飛行機の手紙を見つける。
その手紙には、ユイの家族に関しての悲しい想いに、ハルがいるから助けられているという感謝の言葉、そしてハルが居なくなる事で心の支えが無くなり自殺をほのめかすような内容が書かれていた。
その内容にハルは罪悪感が抱いた。いつも自分より強く、勇気をもらっていたユイの方こそ毎日辛い日々を過ごしていた、それなのに自分は、ただ自身に似せた人形を渡しただけで済まそうとしていた。
――ハル自身がユイの自殺を決意させた、のだと。
思わぬ衝撃に悲しみの中、自然と足が歩き出す。
頭で繰り返される自問自答に導く言葉。
――オイデ。イッショニキテ。
その時、突然聞こえるけたたましい犬の声に、ふと我に返る。
気づいたハルの目の前には木にぶら下がった赤い輪があり、それに驚いたハルは、衝撃で乗っていた木の箱から落ち、近くにいたチャコの存在に気づいた。
更にはその木箱の近くにはユイのナップサックが落ちてあり、中には今までの日常と死ぬ前の出来事が描かれていた絵日記があった。
書かれていた内容は引っ越した後も、必ずハルに会いに行くというもの。
その文面に、ハルは自分のせいじゃなかったんだと気づかされ、そして再び頭の中に聞こえてくる誘いの言葉に、ユイを自殺に追い込んだモノの正体に気づく。
声は執拗にハルに呼びかけ、自殺をほのめかす。しかし、ハルはその声に負けず、『もういやだ!』と叫び、コトワリさまに声を断ち切ってもらった。
断ち切った代償として砕かれた地蔵、そこには山の奥へと続く穴が開かれていた。
コトワリさまは自身の姿を赤い挟みへと変え、ハルはそれを拾い、そして穴の中へと入っていく。


暗い洞窟の中には幾つもの地蔵が立ち並び、そして奥に進むにつれ、彼岸花が咲き乱れ、上には大きなしめ縄、そして赤い糸が全体に張り巡らされていた。
手にしたハサミで次々と糸を切り、見えるユイの残像を追い、奥へと目指していく。
そして、どこまでも深く大きく広がる穴の前へとたどり着いた。
天井からは幾つものユイの首吊りの姿が映され、そしてそこには蜘蛛のような不気味な存在もあった。
蜘蛛の何かは声を出し、そしてハルの頭に直接伝える。
――カワイソウ、カワイソウ、たすけてあげて。
その言葉とは裏腹に見せつけられるユイの首吊り死体に、ハルは怒りを覚え、そして近くで蜘蛛のなにかの体を支えていた赤い糸をハサミで切り始めた。
一つの束を切るたびに大きく態勢を崩していく蜘蛛のなにか。
語る言葉が変わり、今度は――タスケテと言い、そして死体をハルにぶつける。
その矛盾した行動に、ハルは飽きれ、更に糸を切る決意のまま全ての糸を断ち切った。
支えるものを無くした蜘蛛のなにかは、カワイソウという言葉を何度も呟きながら穴の底へと姿を落としていく。
しかし、再び聞こえる声。
ハルがその声に反応し振り返ると、そこにはユイの姿があった。
……イッショニキテ。
願うユイに、ハルは無理だと伝える。
しかし、ユイは手を伸ばし、そしてハルの左手へと赤い糸を伸ばした。
幾つも伸びる赤い糸は徐々に強さを増し、そして厚く絡まる。
ユイのその姿に、ハルは自身の罪を更に受け止め、そしてユイとの絆を断ち切ってもらう為、コトワリさまに左手ごと断ち切ってもらった。
血を流し、ふらつきながらも外へと向かうハル。しかし、出てくる血の量が多く、ハルはそのまま気を失ってしまった。
薄れゆく意識のなか、頭の中にふと浮かび上がる一つの映像。それは、あの蜘蛛のなにかの前で、ハルを庇う様に両手を広げるユイの姿と吠えるクロの姿だった。


外でハルの言い付け通り、ユイとハルの帰りを待つチャコ。
そこにハルを支えながらゆっくりと歩いてくるユイの姿があった。
チャコが一鳴きし、そしてユイがハルの手を離した。


日は経ち、遂に引っ越しの日。
ハルはチャコと一緒にユイと別れた山へと訪れた。
木の下に花を添え、そして奥に広がる赤く染まる夕日の空を見つめる。
頭の中でふと駆け巡るあの時の光景、そしてユイとの今までの思い出。
もう一度ユイと会ってみたい、話してみたいと湧き上がる感情と抑え、そして心に決める。
自分が見過ごしてきた罪、そしてユイとの想い出、決してこの場所には残さず、忘れずに、背負い続ける。
振り返り、帰ろうとした時、ふと背中に撫でるような強い風が吹いた。
ハルが振り返る。そこには先程置いた赤い花があった。
思わず溢れる涙を拭い、そして口を開く。

 

「またね」

 

『概要』
1.ユイはいつ死んだのか?
ユイが死んだのは、ハルと花火を見に行く前。山の何かに誘され、それを救出する際に、クロを犠牲にしてしまう。
ハルの引っ越しとクロの死により、絶望に立たされたユイは山の何かに心の隙を突かれ、そして自殺してしまった。

 

2.ユイが町を彷徨っていた理由
暗転と同時に色々な場所へと移動するユイ。これはハルを探す際にユイが辿った道筋の一つ。図書館での鏡も似たような出来事で触れたのは二回目と言ってる事から、ハルを探す際に触れたと思われる。
ハルとの別れた後、山の何かと接触、ユイの父親が左手を断ち切ったとされる場所まで誘導されるも、そこでコトワリさまと遭遇し、そして山の何かとの繋がりを断ち切った。
解放されたユイは以前歩いた記憶を無意識に辿りつつも、最後はハルと出会ってしまい。今度は真相を探る為、山の奥へと向かった際に再び山の何かに利用される。

 

3.赤いタチバサミ
ハルと蜘蛛のなにかの声を断ち切った後に、ハルに渡した赤いハサミ。
渡した理由は語られてはいないが、可能性があるとすれば、地蔵やしめ縄により蜘蛛のなにかに近づく事が出来ない為、もっとも近づく方法として渡したと思われる。
一見、何も考えずにただハサミを振るうような存在に思われるが、一応はその空気を感じる事が出来るらしく、沈んだ村でハルが呼び出した際も、人形となる供物を捧げるかどうかをしばらく待ち、判断したこともある。
神社にて、全てを終えたハルがハサミを返そうとした所、再びハサミが現れ、ハルがそれを持ち帰った。
再びハサミが現れた理由は、蜘蛛のなにかとの縁がまだ完全に断ち切れてない為、もしくは霊感のあるハルを何かから守る為、もしくはさらに別の遠くへと連れて行ってもらう為。

 

4.蜘蛛のなにか
ハルの前に現れた蜘蛛のなにか。

正体はハッキリとは明かされてないが、洞窟にあるしめ縄と地蔵の数から、祀られていた存在ではなく、むしろ遠ざけられていた存在であり、

山から出れないために人を誘い込むと思われる。

近くにコトワリさまの神社があることから、断ち切られた悪縁が集まり、あのような姿を成したとも思われるが、それも一つの可能性であり、ない場合もある。

元は縁結びの神様の可能性もあるが、赤い糸を張り巡らし、人の縁を利用しては山へと導き、その人の死を残像として見せつけて更に自殺へと追い込む姿勢、そして死んだモノで自身の姿を形成しては、尚且つこの世に留まろうとする姿は邪悪そのもの。
しかし、それはあくまでも生に対する執着と、孤独などの寂しさから出たモノかもしれない。
ハルに赤い糸を切られ、支えていた身体が落ちそうになった際はヤメテと言いつつ、死体を落としハルを連れて行こうとするその矛盾した行動にハルは飽きれていたが、それはこの世に留まる為の必死の抵抗にも思え、ある程度の人間性が伺えた。
その点から考えると、神ではなく、孤独であり行き場の無くした人の思念という可能性も捨てきれない。

尚、前作が隣町である事と、よまわりさんが徘徊している事から、山の神との関連性があると思われ、顔の横にある左手に見える目を自身の小指で潰している事から、山の神への願いを捧げようとしていたか、もしくは自身が神に成りたかった可能性がある。

死=悪ではなく、死を誘う声も人によっては同情や救いにも取る人はいる。
コトワリさまにより砕かれた地蔵の裏にはその場所に続く穴が存在していた。さらに、ユイがハルを助けに向かった事からも、その穴は一つではなく山のあちらこちらにあるとされている為、『何かを捨てる為の場所』だったとも思える。
近くにあるゴミ山やダムに沈んだ村のように、不要となり消えたモノはいつしか忘れられていく。
もしかするとその正体は、この世で捨てられ、そして忘れ去られては残されていった、寂しい存在だったのかもしれない