日本を離れて私はもう30+年も経ちますが、私の子供時代はもちろんケーブル局もなかったし、子供が見られるテレビドラマは限られていました。

 

私の世代の女性だったら「大草原の小さな家」と聞いて、すぐあのテーマソングが頭に浮かんでくるのではないでしょうか?

 

アメリカでは1974年から1982年まで放映されて、日本ではNHKで毎週土曜日の夕方6時に放映されていて、ローラ・インガルスのファンだった私はとても楽しみにしてみていました。

 

見ていた時は子供でしたが、もちろんこれが現代のアメリカだとは思いません、開拓者時代の話だというのはよくわかっていましたが、インガルス一家はどうしてもテレビの中のキャラクターと思えなかったのです(アメリカ人で日本語しゃべってるのに!笑い泣き 

 

特にお父さんのチャールス・インガルスは「理想のお父さん」にぴったりでした。ローラはちびっこでそばかすだったし、美人ではまったくありませんでしたが、その分親しみがわいていつも応援していました。(特に将来の夫になるアルマンゾに会った時はワクワクしました)

 

だからローラの宿敵のネリー・オルソンがアルマンゾを奪おうとしたり、ローラにいじわるしたりしたときは、自分にされたかのような悔しい思いをしました。

 

そして(長い前置き!)今回読んだのはこのネリー役を演じたアリソン・アーングリンが書いた Confessions of a Prairie Bitch: How I Survived Nellie Oleson and Learned to Love Being Hated (大草原の性悪女の告白:どうやって私がネリー・オルソンを克服して憎まれることを好きになったか)という暴露本です。(これを顔本で描いたらBitchという言葉で弾かれましたびっくり

 

 

実は私は読書チャレンジをしていて、その一つのお題がVillain's Perspective (悪人の視点から)というもので、どんな本がいいかと聞いたらこの本が推薦されました。ローラを演じたメリッサ・ギルバートはシリーズの後もいろいろなテレビや映画にも出演して、いまでは映画俳優の組合の会長まで勤めています。でもアリソンはシリーズ後はほとんど鳴かず飛ばずだったので、ネリー役のその後、にも興味がありました。

 

暴露本といってもメモアー(回想録)なので「大草原の小さな家」の裏話だけでなく、彼女の家族、生い立ち、シリーズ後の生活、そしてどんなボランティア活動や政治活動をしてきたのか、という話も含んでいて、とても内容に引き付けられました。

 

大草原の小さな家の裏話として面白かったのは

  • メリッサ・ギリバートとアリソンは実生活では仲良しでお互いの家に泊りに行ったりしていて、いまでも交友は続いている。
  • メアリー(ローラのお姉さん)役のメリッサ・スー・アンダーソンは最初からメリッサと仲が良くなく、他のキャストと交わることがほとんどなくて、いじわるなことを平気でさらっという子だったみたい。番組のリユニオンにはいっさい参加していない。
  • ネリーの弟ウィリー役を演じていたのはメリッサ・ギルバートの実の弟。二人はかなり裕福な家庭で育っていたけれど、メリッサのお母さんは厳しくて楽しい家庭ではなかったよう。
  • お父さん役のマイケル・ランドンはこのキャストの中ですでに有名スターだったので、この番組が制作されたのも彼のおかげのようなもので、彼はプロデューサー、脚本家、演出家でもあった。最初のシーズンが終わって視聴者のリサーチをしてみると、一番多かったのが40代後半の女性だった、それも目当てはマイケルだったので、チャールス・インガルスが上半身裸のシーンが多くなっていった。
  • マイケルは実は背が低かったので、相手役が背が高い俳優だと、マイケルは台の上に立って撮影されたり、背の高い俳優は高低差のある低い場所に立つ、というのがデフォルトだった。
  • メリッサは夫役(アルマンゾ)になるディーン・バトラーが9歳も年上で全く自分のタイプでなかったため、キスシーンとか異常に嫌がった。
  • 逆にアリソンはネリーの夫役(パーシバル)のスティーブとはとても気が合って仲が良く、キスシーンも見せつけるようにばっちりとした、と言っている。実はスティーブは隠れゲイで、アリソンも知っていたし、気にしていなかった。
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裏話と同じぐらい引き込まれたのは、彼女がエイズ団体のボランティアをしたり、実体験をもとに子供の性的虐待の法律を変えるという活動をしたことです。

 

難しい本ではないので「大草原の小さな家」ファンには是非読んでもらいたいと思います。オーディオブックもありますよ。