彼女の目が覚めるまで不安で仕方がなかった。
覚めないと不安で、でも覚めてしまうとそれも不安で…

彼女も最初こそ動揺はしていたけど今は比較的落ち着いていてくれた。
自分のしてしまったこと、先のことを考えると胸が苦しくなったが彼女と話しているとそれも和らいだ

まったく…勝手だよな…

新聞やネットを毎日チェックするけど特に記事になっている様子もない
もう少し記憶が戻るまでここにいさせてもいいよな…

アルバムの話がなくなって知人を介してある人物を紹介された
その人の協力が得られればアルバム出すことも可能になるかもしれない
少しの希望も無駄にはしたくない

明日の打ち合わせで家をあける前に携帯電話と淋しくならないように犬を買った

名前はヒロにした。
HEROと呼ばれていた事を忘れたくなかったし忘れて欲しくなかったから…




いつも俺の服を着て持て余した裾をまくりあげてるのが可愛かった

会話の中で遠慮がちにみせる笑顔をもっと見たいと思うようになった

ヒロとじゃれあうユキを見ていると胸があったかくなって、ずっと冷たく暗いところにいた体が包まれた気がした

だから触れたかったんだと思う…
気づくと手を伸ばしていた

思えばこんな気持ちになったのはいつ以来だろう…
アイツがいつも隣にいた頃はこんなに心が冷たくなる日が来るなんて思いもしなかった
幸せの中にも不安をかき集めてしまう俺の悪い癖を忘れさせるように抱きしめてくれたあの逞しい胸の中を何度恋しく思っただろう
待ち望んでいたその胸の中はあの日の幸せとは違っていた…
でもユキと過ごす時間はあの時の柔らかい心に似ていた

そんな俺に気づき驚いた顔で見つめ返してくるユキ

手が頬に触れそうな時電話が鳴った

驚いて照れた顔で視線を外すユキが可愛かった

突然スケジュール変更
今日用意しておいてよかった

罪悪感?罪滅ぼしなのか?
ユキにしてあげられることがあれば何でもしてあげたいと思ったんだ…