僕の誕生日は
戸籍上
昭和52年4月25日
けれど、本当に生まれたのは
それよりもひと月以上前の
3月5日だったんだ
僕が生まれた時
父は近くにいなかった
家に帰る事も少なく
仕事ばかりの父だった
せめて出生届くらいは父に出してもらおう
なんて
母さんの親心で
母さんは父に出生届を託した
でも
仕事が頭から離れない父は
それを出し忘れ
そのまま、ひと月経ってしまったらしんだ
僕の父は
つまるところ
そんな感じの人だった
誕生日が違う
それを知ったのは
小学五年の夏だった
小学校三年生の頃から
【寮生活】だった僕が、夏休みに実家で帰った時に聞かされた
親や親戚にとっての笑い話のひとつだった
けれど
僕にとって
それはとても大きな事として心に残った
生年月日の誤差はたったひと月
けれど
4月1日が
間に挟まって学年で言うと一年違う事になる…
それからは、
学校で先生に誉められても
ちっとも嬉しくなくなった
みんなよりも
ちょっと速く走れても
ちょっと巧く絵が描けても
嬉しくなくった
本当なら
一学年上に居るはずなのだから…
僕は嬉しいどころか
逆に
恥ずかしい気持ちになった
不正な利益を得ているような
そんな、後ろめたい気持ちばかりだった
ぼんやり、外や空ばかり眺める
そんな生活になっていった
続く→