いっつも黒い服着てるよな
そんな風に友達に指摘された事がある
先に言うと僕は服を買うって行為が苦手だ
オシャレが嫌いな訳じゃないんだ
たまたま目について気に入り買った服を着て
出かけた日に
会った人から
それ、いいじゃん
なんて褒められれば嬉しいし、人並みにオシャレ心は持っているつもりではあるんだ
だけど
【色】
に関する事になると、数学くらい及び腰になる
よく服を一緒に買いに友人がいる
そいつとの出来事で随分前の事になるんだけど
ある服屋に2人で居た時だったんだ…
あのネクタイ良いな
僕が指差し言ったら
お、いいじゃん
友達も同意した
だから、僕は何気なく続けたんだ
あのネクタイさぁ
僕が持ってる、あのムラサキのスーツに
多分合うよな
ところが友人は
そこのところで眉間にシワを寄せて言った
ムラサキのスーツ…?
お前、そんなモノ持ってたっけ…?
えっ、よく着てるじゃん
えぇ?いつだよ
結構最近
どこでさ?
こんなちぐはぐな会話がいくばくかの間交わされてから
友人は僕が
【ムラサキのスーツ】
と呼んだモノが何であるかを把握し
そして絶望したかのように叫んだ
お前何言ってんだ!?
アレは『ムラサキ』って言うんじゃねーぞ!
え………………?
怪訝に僕がそう問い返した時
友人は再び
今度は若干小さめの声で絶望の叫びを洩らした
あれは
『チャイロ』
って言うんだよ!
まさに青天の霹靂!
僕は自分が『ムラサキ』と認知している色が
世間では『チャイロ』
と認知されている事を、その時初めて知ったんだ
もちろんその後
我が家に客人が訪れる度に
例の
【ムラサキのスーツ】
を引っ張り出しては披露して見せ
コレをムラサキと思うか、チャイロと思うか
と訊ねる、検算的な手段もとってみたけど
全員が
チャイロ
と答えた
答えを聞く度にショックを深めていく
僕の表情を見て気の毒に思ってくれたのか
その中の一人は遠慮がちな口調で
あぁ…
百歩譲れば、『アズキイロ』
って呼べない事もないと思うよ…
なんて慰められた…
その件がキッカケで様々な色に関して
その色を何色と呼ぶか?
なんて訊ねた結果
僕が
キミドリ
と認知していた色が
他の大勢の人にとっては
キイロ
であったり
僕が
フカミドリ
と認知していた色が
他の大勢の人にとっては
アオ
であったり…
その度、かなづちで頭をはたかれている感覚だった
僕は
服選びが苦手と書いた
でも
ホントは大好きなんだ…
ただ
色彩感覚のズレが生じる、現実に叩きのめされるのは
やっぱり少し
怖いんで
僕は今日黒っぽい服を着るのです