友の訃報を旅先で聞いたんだ
朝4時なんていう
非常識な時刻に最初の電話はかかってきた
もちろん就寝中だったから半分寝たまま
何回かの呼び出し音を聞く
携帯電話の通話ボタンを押せるほど
ハッキリ覚醒するまで随分かかってしまった様で
ボタンを押すと同時位のタイミングで電話は切れた
厭な予感はその時からあったんだ
二度目の電話は朝8時を過ぎてからで
今度は携帯を手にした瞬間に確信めいたものを抱いた
厭な予感ほど的中する
友達確かに大病を患っていたけど
ここ数年は落ち着いているように
少なくとも傍目には見えた
急逝
と、呼んでいいくらいの亡くなり方だった
携帯を手にした時には確信めいた予感を感じていたくせに
僕はどうしても現実味を持ってその報せを聞く事が出来なかった
外国にいるという事実が
そうした現実味の薄さに拍車をかけても居たのかも知れない
終始
はぁ…
そうですか…
なんて、鈍い受け答えをし続け僕は
通話を切ったその時ですら
これは間違いなんじゃないか…
なんて事をボンヤリ考えていたと思う
告別式の日取りは、奇しくも
マイアミで行われる友人の日取りと一緒だった
僕はのろくさとシャワーを浴びて
安ホテルの近くにある売店に向かった
僕には簡単な英語が通じる事を知っている売店のオヤジが
おはよう
とだけ、日本語で言った後に
いつまでニューヨーク滞在なんだ?
と聞いてきた
今日、マイアミに発つんです
あさって、友達の結婚式があるから
そう答えると
オヤジは不思議そうな表情になって言った
結婚パーティーに行くのに
どうして、そんな疲れた顔をしてるんだい?
僕、疲れた顔してますか?
反射的に聞いていた
あぁ…少しだけな
遠慮がちにオヤジは答えた
実は今朝
日本から電話があって友達が亡くなった、って言うんです
オヤジは驚きの表情を見せる
僕は日本に帰るべきでしょうか?
オヤジはしばらく…と言っても2・3秒だったと思う
考えてから全く持って簡潔に言った
間に合うのかい?
え?
今から日本に帰って、間に合うのかい?
そう言われはじめて、僕は時差や日付変更線の事を考えた
多分間に合いません
じゃ、間に合う方に行けばいいと思うけど…
まったくその通りだった
サンドイッチとコーヒーを持って僕はベンチに腰かけた
アメリカ独特のゴツいサンドイッチが喉を通過した時
少しむせた
むせた拍子に唐突に涙が出てきた
ひどいな、人が外国にいる間に急に死ぬヤツがあるか…
むせながら呟いてから
その台詞のあまりの身勝手さに我ながら呆れた
間に合うのかい?
オヤジは言った
時差や日付変更線なんて、
関係ない
もう間に合わない
間に合いなどしない
おそらく一生
もう間に合いなどしない
そう思ったんだ
思い出と呼ばれる、記憶の中で
友は笑っていた
ありがとう
もう一度むせ呟いた
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