ストロングスタイル②⑨-8 | ひとつ前のかどはさよならサヨナラ
友達に殴られるなんて初めてだった
2発目が鼻に入る

僕は、袖で鼻を押さえ、またあいつと向き合う

俺の事馬鹿にしてんだろ

またあいつは僕に言う

違うよ

僕はまた繰り返す
あいつはまた、無防備に直立する僕の顔に拳を叩き込む
ボタボタと鼻から血が溢れるのが触らなくてもわかる

目の前の【あいつ】は誰だ…
ふと思った
姿は見えている
僕は頭の中でボンヤリ思う

また殴られる

僕の頭の中で僕が聞いてくる
思い出せ、出会った頃を
聞こえたって聞こえなくたって
疑わなかったじゃないか

土砂降りの野音の中に僕らはいた

今頃、気持ちが伝わってるかなんて、なんで心配になるんだ

道路のど真ん中で響かせた爆音を思いだせ

あいつにだって響いてたはずだよ、僕にも…
知ってただろ

あぁ悩むだけで充分だって僕が言ったじゃないか

僕らのルールは

信頼だった

僕はもう一度あいつの顔を、目を見た

僕を見る目は、
嫌いな奴を見る目なんかじゃないじゃないか

今、気付いた

あいつが殴る手を止めた

僕は顔が変形してしゃべりづらかったけど
ゆっくり言ったんだ

わりぃ
お前が誰だか思い出したよ

続く