ストロングスタイル②⑧-16 | ひとつ前のかどはさよならサヨナラ
きっと、直ぐ諦め帰って来ると思っていた
中学生では持ち金にも限界があると思った

けれど少女は、なかなか帰らなかった
時間だけが過ぎる
…2時間…3時間

僕は、建物を出て辺りを見回していた

風は冷たい
せめて暖かいモノは着ていったのか…

あの時止めなかった事を後悔していた
きっと、どこにもない真冬のスイカを、あの子は探している
不可能を覚えるために

深くため息をついて一度、中に戻ろうとした時だった


夕暮れの向こうに
お腹まで隠れてしまうかのような
胸いっぱいの堂々とした大きなスイカ一玉を、しっかり両手で抱え


少女は歩いてきた


その顔は、スイカに負けない満面の笑みだった

スイカは、持ってもらう事を喜んでいる様だった

僕は駆けより、寒かっただろうと自分のコートをかけてやった

大丈夫
やっぱり笑顔で返された

でもね、一万円もしたの…
ポツリと少女はスイカを見ながら言った
スイカは今度は申し訳なさそうな顔になっていた

一万円…
よく持ってたねお金

僕もスイカを見ながら言った

するとその子恥ずかしそうに言ったんだ

全然持ってなかったの
そんにすると思わないもの…

続く