こんばんは。ルッタですニコニコ

 

今日は固体の分離について。

よく出題される範囲で、割と難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。

固体以外では、液体や気体の分離もよく出題されますが、それは次の記事にて書きたいと思います。

 

今回は、少し趣向を変えてみようかと思います。

 

先に、必要となる情報を提示しておきます。

というのは、こう言った分離に関する問題では、各物質の性質をしっかりと記憶していないといけないからですね。

なので、必要な情報を先に提示しておいて、その知識が「ある」と仮定して問題を解いていきましょう。( )内の情報は知ってればぐらいでOKです。

 

前情報

食塩:

海水に含まれる。水に解ける。食塩水は電気を通す。塩酸と水酸化ナトリウムの中和反応にて生じる。(因みにですが、当然塩酸や水酸化ナトリウム水溶液に解けます。)

鉄:

銀白色。磁石にくっつく。塩酸に溶けて水素を発生する。水酸化ナトリウム水溶液には解けない。(鉄以外で磁石にくっつくのは、ニッケルとかコバルト等があります。)

アルミニウム:

銀白色。軽い。原料はボーキサイト。塩酸にも水酸化ナトリウム水溶液にも溶けて水素を発生する。電気の缶詰と呼ばれる。

銅:

橙赤色。電気をよく通す。塩酸にも水酸化ナトリウム水溶液にも溶けない。錆びると緑青を生じる。合金にはブロンズ等がある。

石灰石:

白色。主成分は炭酸カルシウム。卵の殻、貝殻、サンゴ等に含まれる。強酸に溶け二酸化炭素を生じる。結晶性のものは大理石と呼ばれる。(少し不正確です。)

 

塩酸:

塩化水素(気体)が水に溶けたもの。酸性。色々な金属を溶かし水素を発生する。水酸化ナトリウム水溶液と中和し、食塩を生じる。電気を通す。

水酸化ナトリウム水溶液:

水酸化ナトリウム(固体)が水に溶けたもの。アルカリ性。アルミニウムを溶かし水素を発生する。塩酸と中和し、食塩を生じる。電気を通す。

 

今回必要な情報は、これだけあればお釣りが来ます。

 

 

ということで、例題です。

東大寺学園中学2008年第4問です。説明のため一部改変しています。

 

問題 4種類の粉末A〜Dが混じったものがあります。この粉末を1種類ずつ分離することを考えます。A〜Dの混じったものを、液体X〜Zを用いて、一つひとつ溶かして分けていくことにしました。粉末と液体については次のことが分かっています。

 

① Bは軽い金属で、その原料はボーキサイトとして知られています。

② Cの粉末は磁石につきます。

③ Dの粉末は赤色をした金属です。

④ 液体Yと液体Zを混ぜると、粉末Aの水溶液と同じものができます。

⑤ 液体Zは気体が溶けたものです。

 

まず図のように、粉末A〜Dが混じったものを液体Xに加えたところ、Aだけが溶け、B〜Dは沈殿として残りました。これを濾過し、濾紙に残ったB〜Dの混じったものを、液体Yに加えたところ、Bだけが溶け、C、Dが沈殿として残りました。再びこれを濾過し、濾紙に残ったC、Dの混じったものを、液体Zに加えたところCが溶け、Dが沈殿として残りました。

 

 

問題を解く前に、情報を整理しておきます。

①から、Bはアルミニウムです。

②から、Cは鉄と考えられます。

③から、Dは銅であると考えられます。(銅の色は、赤だったり橙だったり問題によって異なります。)

④と前情報から、液体YとZは塩酸か水酸化ナトリウム水溶液であり、粉末Aは食塩であると考えられます。

⑤より、Zが塩酸。Yが水酸化ナトリウム水溶液と分かります。

 

前情報と①〜⑤までから、ほぼ物質は特定できます。

で、ここから問題を解いていきます。

 

(1)粉末Aは何ですか。その名前を書きなさい。

解答:上記整理から「食塩」です。

 

(2)液体Xは何ですか。その名前を書きなさい。

解答:食塩を溶かし、その他の金属は溶かさないので「水」ですね。

 

(3)液体Yをリトマス紙につけた時の変化について、次のア〜ウから正しいものを1つ選んで、記号で答えなさい。

ア 赤リトマス紙が青くなる。

イ 青リトマス紙が赤くなる。

ウ 赤リトマス紙も青リトマス紙も変化しない。

解答:液体Yは水酸化ナトリウム水溶液なので、答えは「ア」ですね。

 

(4)液体Zを石灰石に加えた時、発生する気体は何ですか。その名前を書きなさい。

解答:液体Zは塩酸なので、答えは「二酸化炭素」ですね。

 

(5)石灰石1gに液体の量を変えて加え、発生する気体の体積を調べたところ、次の表のような結果が得られました。液体Zを250㎤加えた時、発生する気体の体積は何㎤ですか。

解答:以前に書いた質量保存の法則に関する問題です。

まずは、状況を書き出します。

 

石灰石+液体Z→発生した気体

1.0g       50㎤     62.5㎤

1.0g       100㎤    125㎤

1.0g       150㎤     187.5㎤

1.0g       200㎤     ⬜︎㎤

1.0g       300㎤     250㎤

 

液体Zが50㎤増えるごとに発生した気体は62.5㎤増えます。したがって、まとめの⬜︎は250㎤と考えられます。300㎤加えた時も発生した気体が250㎤と変化していないことから、液体Z200㎤の時に、全ての石灰石が溶けたと考えられます。

よって、250㎤加えた時も「250㎤」となります。

 

 

前情報があれば、簡単ってことが分かってもらえるかな。。。と思います。

この問題を例に挙げたのは、図の分離パターンをしっかり覚えておくことが必要と思ったからです。

 

つまり、

①水で食塩を溶かす。

②水酸化ナトリウム水溶液でアルミニウムを溶かす。

③塩酸で鉄を溶かす。

④残った固体が銅。

こういう感じです。

 

先に塩酸を加えてしまうと、鉄とアルミニウムの両方が溶けてしまいます。

固体の分離で出題されるのは、多くがこのパターンです。

 

銅の代わりに銀、金、白金あたりは出るかもしれません。

逆に水酸化ナトリウム水溶液に溶ける金属は、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛等がありますが、私の知る限り中学受験ではアルミニウム以外は出題されたことはありません。

因みに、この4つは「あ あ す な(お)」とか「あ あ すん なり」とかで覚えます口笛

まあ、そもそもアルミニウムが水酸化ナトリウム水溶液に溶ける反応も割と難し気はしますけど。

 

例題としては、ちょっとイマイチかなぁ。。。とも思いますが、しっかり知識を定着させていれば、難しくないと感じてもらえるのではないかと思います。

ただし、1個でもあやふやになっていると、全部間違えてしまう類の問題ではありますので、まずは完璧に覚えることが大事なのは変わりません。

 

液体や気体の分離についても、基本的な考え方は同じです。

高校化学の無機化学も同様です。覚える量は桁違いですけど。

次回は、気体か液体のどちらかについて書いてみようと思います。

 

そのうち時間があったら、以前中学受験で見られる化学反応をまとめたみたいに、出題される固体、液体、気体についてもまとめておこうかと思います。

 

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