「はじまりの日」FOREVER YOUNG~輝く明日へ、あなたの傍にいる~ | ルスナグレイネのききみみずきん

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「はじまりの日」

はじまりの日 絵本 に対する画像結果

 

 桜はもうすでに散ってしまうけれど、次々と花々が誇らしく咲きほこる4月は、新年度が始まる季節です。入園式、入学式や、大人の世界では入社式もあります。新たな出来事や新たな人との出会いもありますね。新しく何かが始まるということは、わくわくすることでもあるけれど、少し不安なこともあるでしょう。そんな時は、何か寄り添ってくれる存在があるといいかもしれません。

 

 きみが 手をのばせば しあわせに とどきますように

 May God bless and keep you always,

 

  きみのゆめが いつか ほんとうに なりますように

 May your wishes all come true,

 

 まわりの 人びとと たすけあって いけますように

  May you always do for others and let others do for you.

 

 星空へ のぼる はしごを 見つけますように

 May you build a ladder to the stars and climb on every rung,

 

毎日が きみの はじまりの日

きょうも あしたも あたらしい きみの はじまりの日

May you stay forever young, forever young, may you stay forever young.

 

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「FOREVER YOUNG」黒のギターケースの上に書かれた文字が目に飛びこんできます。絵本の表紙を開くと、見開きの右のページには一人の青年のイラストがあり、

こんな言葉を伝えています。

“ひとりをたのしめ DIG YOURSELF”

イラストの青年は、2016年ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン。

彼の歌が絵本になりました。

「ぼくは、息子のことを想いながら作った。別に意気込んだわけじゃなく、自然にうかんできて、なるべく感傷的にならないように、ちょっと努力しただけだ」と語っています。

少しシャイな彼らしい表現なように思います。

 英文としても思索的で美しい歌詞を訳したのが、アメリカ人の詩人、アーサー・ビナ

ドさん。詩作の傍ら、数多くの絵本作品もあります。ビナードさんは被爆広島にも強い思い

を持っています。「ドームがたり」という絵本は、原爆ドームに自分を語らせる、という異

色な作品です。スズキコージさんの絵が力強く印象深いものになっています。

「FOREVER  YOUNG」を「はじまりの日」と訳すなど、誰もとても思いつかない深さ

があります。俳句や日本の詩にも造詣が深い彼ならではの言葉でしょう。私たち日本人が口ずさむことのできる内容になっています。ここでは、前半部分を対訳として紹介しました。

 また、ポール・ロジャースさんの絵は、まるで安野光雅さんの”旅の絵本”のように、各所

に仕掛けがあります。巻末に「この本の絵について」との解説で詳しく記していますが、デ

ィランのファンはもちろん、ディランの歌を知らない人でも、入門編のように歌の背景が伝

わり、歴史や文学、社会に目を向け続ける姿勢などもうかがい知ることが出来ます。ディラ

ンの歌を取り巻く音楽全体へトリビュートしてやまない思いが、絵の中に溢れています。

東日本震災で傷ついた人々に寄り添った歌でもあり、絵本によって勇気付けられたとい

う人々もいます。息子を想う父の姿が重なって届いたのかもしれません。

冒頭の言葉「DIG YOURSELF」をビナードさんは「ひとりをたのしめ」と訳されました。

ボブ・ディランは、そして、ビナードさんは、この言葉に何を託したのでしょうか。

ぜひ全文を読まれることをお勧めします。

 

あなたの「はじまりの日」が輝きますうに!