政府は6月から、森林整備を名目に「森林環境税」の徴収を始めた。東日本大震災後に「復興特別税」として住民税に上乗せされてきた分が切り替わる形で、増税が継続する。防衛増税を巡っても、復興特別税の所得税分を事実上転用することが決まっており、専門家は「看板のかけ替えによって、負担を分かりにくくする『ステルス増税』になっている」と指摘する

都内に住む女性の元に届いた住民税の納付書。「森林環境税」の欄に1000円が計上されている

「1000円」加算が6月以降も継続

 復興特別税は、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するため創設された。所得税分では2013~37年までの25年間、税額に2.1%分を上乗せして徴収。住民税分では23年度分まで年1000円が加算され、今年5月まで徴収されてきた。

 ところが、住民税への加算は6月以降も続く。徴収期間の終わった復興特別税に代わって、新税「森林環境税」として徴収されるためだ。同税は森林整備の財源確保が目的で、徴収後は各自治体に配分。負担額は以前と変わらないものの、本来なくなるはずだった税負担が続く。