恩義、仁義から最も遠い人 奥谷 彼女は恩義や仁義といった言葉から、最も遠い人です。そこを理解しないといけない。

 
 30年以上、小池さんと財界人を交えた読書会をやっています。オリックス元会長の宮内義彦さんや、トヨタ元社長の奥田碩さんなども参加していらした。食事をしながら課題の本について議論をするのですが、持ち回りで幹事役をやって、会場の手配や支払いをするんです。ところが、彼女は幹事役を一切やろうとしない。さすがに私が「あなた一回くらいやりなさいよ!」と言って、ようやく昨年、初めて幹事をしましたよ。彼女がやらなくても、周囲の男性陣は優しいから何も言わない。普通は「申し訳ない」とか、恩義を感じるものだけど、彼女は平然としているんですね。  田﨑 奥谷さんは、そんな小池さんと、よく40年近くも交流を続けていますね(笑)。  奥谷 それは小池さんに聞いてください。もともとは1980年代初頭に、私が人材派遣会社「ザ・アール」を設立した直後だったと思いますが、当時親しくしていたコスモ石油創業者の中山善郎さんから、「通訳を頑張っている女性がいるから会ってみないか」と紹介されたのが、まだ30代初めだった小池さんでした。彼女はエジプト留学から帰国しており、中山さんも「日本アラブ協会」の会員でしたからその縁で知り合いだったのでしょう。当時の彼女は、地味で野心の欠片もないような女性で、ハッキリ言って政治家になる感じではなかった。