福島市でいま、市街地を見下ろす百名山・吾妻山の景観に市民の関心が集まっている。大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の工事で、山肌がむき出しになっているからだ。冬に積もっていた周囲の雪が解けたころからいっそう目立ち、市には多くの苦情が寄せられている。

 世界各国で再生可能エネルギーに実績があるカナダ企業が進めている事業で、仮称名は「高湯温泉太陽光発電所」。JR福島駅から西に約10キロ離れた、吾妻山の一角の先達山の標高約300~600メートルの斜面で建設が進む。宅地開発やゴルフ場建設などの計画もかつてあったが、バブル経済崩壊などで頓挫した土地だ。

 東京ドーム13個の広さにあたる60ヘクタールの改変区域に約10万5千枚の太陽光パネルが設置され、来年2月に完成予定だ。発電出力は40メガワットで、20年の固定価格買取期間後は5~10年程度の発電事業期間を見込んでいるという。

 市によると、市内に出力1メガワット以上のメガソーラーは、建設中を含め26カ所ある。5キロほど離れた森林内にも市内最大の80メガワットの施設がある。ただ、多くの施設は遠方からは見えづらく、「景観」がこれほど問題になった例はなかったという。