自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けて党内に発足した政治刷新本部(本部長・岸田文雄首相)では、政治資金パーティーや派閥のあり方が議論の焦点となっている。自民党6派閥の政治資金収支報告書を見ると、収入の約8割をパーティーの売り上げに依存する一方、支出の大半は所属議員への寄付となっており、派閥が「集金マシン」の役割を果たしていることが分かる。

 安倍派▽麻生派▽茂木派▽岸田派▽二階派▽森山派――の政治資金収支報告書を調べた。裏金事件を受け、安倍派などは現在、収支報告書の訂正を検討中で、パーティー券収入のノルマ超過分の不記載分などは含まれていない。

自民党の政治刷新本部の初会合に臨む岸田文雄首相(中央)。左から2人目は最高顧問の菅義偉前首相=東京都千代田区の同党本部で2024年1月11日午前11時12分、竹内幹撮影

自民党の政治刷新本部の初会合に臨む岸田文雄首相(中央)。左から2人目は最高顧問の菅義偉前首相=東京都千代田区の同党本部で2024年1月11日午前11時12分、竹内幹撮影© 毎日新聞 提供

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けて党内に発足した政治刷新本部(本部長・岸田文雄首相)では、政治資金パーティーや派閥のあり方が議論の焦点となっている。自民党6派閥の政治資金収支報告書を見ると、収入の約8割をパーティーの売り上げに依存する一方、支出の大半は所属議員への寄付となっており、派閥が「集金マシン」の役割を果たしていることが分かる。

 安倍派▽麻生派▽茂木派▽岸田派▽二階派▽森山派――の政治資金収支報告書を調べた。裏金事件を受け、安倍派などは現在、収支報告書の訂正を検討中で、パーティー券収入のノルマ超過分の不

 

 

 2022年分の6派閥の収入総額は計11億8370万円。収入の内訳で最も多かったのは政治資金パーティーの「事業収入」で計9億2143万円を集め、収入の77・8%を占めた。事業収入の割合が最も大きかったのは森山派の90・5%。安倍派は50・9%だった。

 総務省が所管する政党などを含めた全ての政治団体で見ると、全収入に占める事業収入の割合は31・9%だった。約3割を占める政党交付金は派閥には支給されておらず、パーティー収入への依存は顕著だ。

 支出を巡っては、全政治団体では全体の30・9%にとどまる「寄付・交付金」の割合が、派閥では66・1%と倍以上に跳ね上がっているのが特徴だ。各派閥は夏に「氷代」、冬に「餅代」と呼ばれる資金を所属議員に支出しており、議員側の活動を金銭面で支えている。多くの派閥がパーティーの売上額に近い額を各議員に寄付していた。

 派閥には、自派のリーダーを総理・総裁に押し上げる目的もある。収支報告書上で、その資金の動きが顕著だったのは岸田派で、自民党総裁選があった21年、組織活動費として約1億円を支出。この額は22年分の6派閥の支出の合計額を上回る突出したものだった。首相は総裁選で政策パンフレットを全党員に郵送するなどしており、岸田派の支出でも印刷代や郵送・発送費などが多くを占めた。首相は自身の資金管理団体から同派へ法律上の上限額である5000万円を寄付し、派閥の財政を支えた。