昨年10月末より読み始め3ヵ月半かかり 読了
読後の感想は
「思っていたより面白かったよ」
(それが感想かよ)
夢の浮橋のその先は 何処にも通じていませんでしたし
期待されたようなハッピーエンドも
感動の結末も そこに待っていませんでした
死んだと思われた浮舟は生きていたが
全ての俗世は捨てて 出家の途を歩む
浮舟の生存を確信した薫るは 一目再会を望むが
薫の願いは叶わず 想いは届かず
きっと誰か次の恋人ができ
囲われて時折り訪れて来るんだろう
自分がかつて宇治を訪ねていたようにと
思うのだった
薫はその性格から思いを成し遂げたいという願望より
失敗することへの恐れの方が勝ったのだ
本能的な自己保身か 自己暗示する事で
より自らが深手を負うことを避けたのか
こういう生き方をする人現代にもあまたいる
****
この大長編は雲が薄れて消えて行くように
唐突な感じに終わっている
紫式部 畢生の物語の結末
その唐突な結末は 読者の欲求を掻き立てる
様々な想像を掻き立てる
千年の後まで憶測余韻を残す
その後この天才がいつまで生きて
何歳で亡くなったのか定かではない
物語の結末は
自身の末期を暗示しているかのようだ
命の証しに残した物は
紫式部は 命の証しに 永遠の文学を残しました