最澄を知る41  最澄の天台宗③ 「戒」について その2 | 絵本作家 ふじもとのりこの「絵本がもっと楽しめる!絵本製作裏話」

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絵本に関わり、早や40年。
ママと子が一緒に楽しめる絵本を4冊、工作本も出版!
絵本作家しか知らない、絵本の創り方、絵の技法、親子で作るキッズアート大公開
描いて、読んで、親子で絵本を10倍楽しもう♪

最澄を知る41  最澄の天台宗③ 「戒」について その2

最澄の10の戒とはどういうものだったのでしょうか?
これらは菩薩戒ともいい、これをやぶるのは、菩薩でなくなることも意味していました。

  1. 生き物を殺さない
  2.  盗みを働かない
  3. 出家者は性交渉をせず、在家は不倫をしない
  4. 嘘を言わない
  5. 酒を売らない

    ここまでは、仏教では共通の行動のルールです。
    しかし、これ以降の5つは心のルールです。
    貪瞋痴(欲張りの心、怒りの心、愚かな心)への戒です。

     
  6. 菩薩、比丘、比丘尼の犯した罪を吹聴しない
  7.  自分を誉めて他人をそしりけなさない
  8.  人に与えることについて惜しまない
  9. 他人から謝罪を受けたらそれを受け入れ、怒りの心によって許さないということをしない
  10. 仏・法・僧の三法をそしらない

最澄は、菩薩戒を得るための儀式の最初に、あまねく仏を勧請し、それから、菩薩戒を受けたい僧に、血を吐くような懺悔を義務付けました。
懺悔によって清められてから、仏に誓うことができたのです。

250もの行動を縛る戒を、最澄は主に心の戒として、10に減らしました。

これは、その後の日本の仏教にとても大きな影響を与えた、と言われています。親鸞はさらに最澄の10の戒すら否定していくのです。

戒は日本人には合わない考えでもありましたが、しかし、それを軽減することで厳しさを失い、堕落することも考えられます。
そこで最澄が作ったのは、僧になったあとの厳しい教育でした。
(つづく)