最澄を知る38 天台宗の祖、天台智顗の教え②
天台智顗の教えの根本は、法華経に説かれている最高の真理「諸法実相(しょほうじっそう)」です。
「この世の中に存在するすべてのものは、そのままが真理のあらわれ」と受けとめる立場をいい、そのように感じられたとき、それを悟りといいます。
雑草とか虫けらといったものにも命があることを心にとめます。
この悟りは、止観〈座禅〉や写経、また一心に読経することで、心を静寂にして体験します。
自分の心を静かに観察すると、自分の心とフラクタルに、外の世界があり、心の動きの中に全宇宙があること、すなわち一瞬一瞬のうちに永遠を生きていることを実感します。それを一念三千(いちねんさんぜん)〉と言います。
これは、迷いそのものの中に悟りがある、すなわち、悩みや苦しみがあるからこそ、生きる喜びがあるという悟りで「煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)」と言います。
日常生活そのものの中に悟りがある、すなわち、生まれたり死んで行くその現実をそのまま受け入れられるところに過去・現在・未来の三世にわたる命を知ることができるという、「生死即涅槃(しょうじそくねはん」の悟りでもあります。
このことを、最澄も悟り、天台の教えの深さを感得したのでしょう。