伊勢参拝~天孫降臨神話19  ニニキネの晩年・ホツマツタヱ編 | 絵本作家 ふじもとのりこの「絵本がもっと楽しめる!絵本製作裏話」

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伊勢参拝~天孫降臨神話19 

ニニキネの晩年・ホツマツタヱ編


古事記では、ニニギの息子、山幸彦がのぞいてはいけないと言われていたトヨタマヒメの本性、ワニの姿での出産を見てしまったため、トヨタマヒメは海に帰り、かわりに差し出した妹の玉依姫を妻にした、というお話になっています。

 が、ホツマツタエでは、産屋でのしどけない姿を見られて恥じたトヨタマヒメは実家に帰っていたけれど、ニニキネのとりなしによって、二人はまた結ばれています。ニニキネの義父としての優しさが分かるお話です。

 


ニニキネとトヨタマヒメ


ニニキネは、は諸臣を召して話をしました。


「私は田畑のためにハラミ山の開拓を成し、30万の民を治めた。またアマツヒツギを受け継いで、ワケイカツチノカミとなった。
31万年の間統治したが、年老いてしまったため、アマツヒツギをウツキネ(ヒコホオテミ=山幸彦)に譲ろうと思う」

 ホオテミ(山幸彦)は足の速い船でミツホ宮に帰ると、天君(ニニキネ)も臣も喜びました。

 そのころ、身ごもっていたトヨタマヒメは、遅い出発の船で来ましたが船が壊れて、海に投げ出されました。溺れそうになった姫は子どもを思って猛き心で泳いで磯につきました。

 そして、産屋ができてないうちに出産しました。泳いだ疲れもあって、しどけない姿で寝ていたところ、見てはならないと言われていたヒコホオテミ(山幸彦)がのぞき、あられもない姿を見られてしまったのを恥じた姫は御子を置いて、ミツハメの社に籠りました。

迎えに来た使いに、妹の玉依姫を差し出したので、ヒコホオテミもこれを娶って妻としました。
ニニキネは、アマツヒツギをホオテミに授け、三種宝を継承させ、ホオテミは大嘗祭を行って、万民は君を拝みました。


 一方、トヨタマヒメは何度呼び出してもミツハメ社から出てきませんでしたが、翌年ニニキネが迎えに行くと、さすがに社から出てきました。

ニニキネに、「あなたは世を捨てて道を外れるのか?」と問われた姫は、「外れたくありませんが、渚を泳ぐ嘲りに腹這いの恥を重ねた身では内宮は務まらないでしょう」と答えます。
 
ニニキネは、言いました。
「しかと聞きなさい。子を産んだ後は営みを断つものだ。
ホオテミは忠告されていたにもかかわらず覗いてしまった。これはホオテミの恥なのだ。
竜の子は、海と山と里に千年住み、そのミイキを悟って君となる。
あなたは、海を泳いでお種を守ったことで地の気を悟り、内宮になることで天の気を悟り、妹背を得れば、人気を知る。この3つを知れば、タツキミの如くなれる」

 ニニキネの心ある共感を得た姫は、ニニキネのおばミホツヒメに付き添われて、ホオテミのもとに戻りました。

懸案の事が解決したニニキネはホオテミの元に戻り、遺言を残しました。
「天に日月が照ると人や草が喜ぶように、地の君も暗くなれば民は枯れてしまう。コヤネ・コモリとともに政をとりなさい。宮内はミホツヒメに任せなさい」

そして、ニニキネは船で鹿児島に向かい、タカチホの峰にて神となりました。ワケイカツチのスヘラカミと称されました。

妻のアシツヒメ(コノハナサクヤヒメ)は、浅間の峰に入り神となり、アサカノカミ、またはコヤスカミと言われています。


ニニギの深い人間性がホツマツタエでは見ることができます。
天孫降臨シリーズこれで終了です。