かれこれ1か月前、大みそかから元旦の昼にかけて2回、小僧寿しさんのお世話になった。大みそかは唐揚げ、元旦昼はお寿司だ。
今年は近所のスーパーが元旦の営業をそろって見合わせたため、普段は元旦からスーパーでお寿司を買うところを、営業してくれる小僧寿しさん頼みとなったのだ。

予約は早めにネットで行い、あとはお願いした時間に取りに行くだけとなった。大みそかの夕方、レジにいる女性は「研修中」といったような名札を付けている。「なるほど、この日のために雇われたバイトさんなのだな」と温かい気持ちで接する。かなりゆっくりした対応ではあったものの、時間通りに買うことができ、家で作った煮物などと一緒に皆でおいしくいただいた。

さて、同じような光景を想定して10分ほど早めに向かった元旦昼。私の予約時間は11:45だった。我が家では総勢11名が私が持ち帰る寿司を待っている。責任重大だ。

少し早めに店舗に着き、並んで待つ。すでに10人弱が列になっていた。「この人たちみんな予約してあるのかしら?私はしてあるけどね!」と若干自慢げな気持ちで待ち続ける。昨日とは違う「研修中」の女性が一人でレジを担当している。とってもとっても手際が悪い。そもそも全員に電話番号を聞いて、名前を聞いて、箸とワサビと醤油の数、レジ袋の要不要を確認して、一人当たり3-4分かけ対応している。寿司パックに袋を載せ、「お願いします。」(袋詰めの協力依頼と思われる)などといっても元旦の寿司購入要員として派遣された男性は突っ立っているだけで、結局この女性が袋詰めをすることになり、さらに時間がかかっている。列に並び、観察してわかったことだが、全員予約客のようだ。

ほぼ進まない列、一人また一人と寿司を受け取りに来る客、また客。手際の悪い「研修中」の女性。予約時間の11:45は余裕で過ぎた12:00ごろ、私の番が来た。ここに並んでかれこれ25分ほどだ。どこもかしこも休みの中、元旦から営業してくれているのだから、文句を言ってはいけない。この時私はまだそう思っていた。「予約の○○です。」誇らしげに告げる私。パックのお寿司人数分と手巻きずしをそれなりに頼んである。なのに女性の第一声は「えんがわの握りですか?」食い気味に「違います!!!」と私。私が明らかにイラつき始めたのはこの瞬間だろう。挙動不審になる女性、何か困っている様子だ。ろくな説明もなく、先に会計をして欲しいと言う。さっさと払う私。商品は出てこない。ここでようやくまだ品物が準備できていないということを察した。「予約時間だいぶ過ぎてますけど~~~!!」という気持ちでいっぱいではあるものの、「元旦営業、元旦営業、元旦営業」と呪文のように心で繰り返してこらえる。

ひまなのでその後他のお客さんのレジでのやり取りを聞いていると、『予約時間を過ぎている⇒でもできていない⇒できるまで30分くらいかかる⇒電話をもらって取りに来る』みたいな人ばかり。みんな穏やかだ。「元旦営業」の呪文を唱えているのだろうか。レジ周りをウロウロしてみるが、「研修中」の彼女は相変わらずいっぱいいっぱいで「お待たせしてすみません」、「今用意してます」、「もう少しですよ」と言った気遣いの声掛けなど一切ない。12:35ごろ私の堪忍袋の緒が切れかける。本当は「予約から50分ですよ!おかしくないですか!こっちは家族がお腹空かして待ってるんですよ!どうなってるんですか!」などと言ってしまいそうだったが、ずいぶん抑えて「ちょっと待ちすぎじゃないですか?予約したの11:45なんですけど。」ぐらいで留めておいた。

とはいえ、言った後でとてもいたたまれなくなった。自分は温厚な人間だと思っていたが、こんなに短気で、新年早々精いっぱい頑張っている人に苦情を言うような人間だったのかと。そもそもこの店で私ほどウロウロしている人はいなかったし、挙句の果てに苦情を言い出す人、またはその気配のある人は誰一人いなかったのだ。ほかの人たちは皆、元旦営業し、不慣れとはいえ元旦でも働いてくれるバイトを探し出して雇う企業姿勢、奥ではベテラン女性職人さんたちが一生懸命寿司を作ってはパック詰めする姿に敬意と感謝を十分に持ち、1時間ぐらい待たされても「仕方ない」と対応できるできた人たちばかりだったのだ。雰囲気を悪くしてしまったかもしれず、本当に申し訳ない。自分の個人主義を自覚するとともに、「いい町に住ませてもらってるな」と幸せを感じる元旦であった。まさかこの数時間後、あんな大災害が起こるとは。こうなってみると、ますますそのくらいの「待ち」で不平をいうな!と当時の私に言ってやりたいのである。

さて、以上のことを全て踏まえたうえで、私は小僧寿しさん上層部にお伝えしたい。店舗スタッフはこんなに奮闘していたが、これほどの混迷は準備しだいで防げたと考えられる。今回私が改善点として気づいたのは以下だ。

①とにかく完全予約制とすべし。メニューはすでにかなり絞られていたので大丈夫だが、追加購入も不可の方がいい。予約を受ける上限を決め、絶対に間に合う数以上は受注しないこと。
②スタッフ数をさらに増員すべし。神社だって初詣のために巫女さんの増員をしている。「研修中」の女性がもう一人いて、窓口があと一つあるだけで、だいぶ違ったし、製作スタッフもいくら熟練でも足りなさ過ぎた。お客さんの中にはこの混雑の中、誰も扱いがわからないお買物券を出す強者もいたし、この忙しいのに中の知人スタッフに挨拶するKYな人もいた。それでも「研修中」女性は誠実に、イラつきもせず対応していたが、できればレジもいわゆる「わかってる人」を配置できる余裕があるとよい。
③システムの簡素化を。予約番号、または予約時間と名前だけで会計まで自動で処理ができるシステムにすべき。現状のものの使い勝手をもう一度検討していただきたい。

というわけで、この年末年始は小僧寿しさんに本当に助けられ感謝しつつ、「研修中」女性が「もう二度とバイトしない!!」とならないよう、改善をお願いしたい。