第1シリーズの「プロジェクトX」以来、番組の主題歌、挿入歌となっている「地上の星」と「ヘッドライト・テールライト」。

耳になじんだこの2曲の意味を初めて真剣に考えてみた。

 

番組が扱うのは今私たちの生活を作り出してくださった名もなき英雄たちだ。

 

この2曲は、成し遂げたことがどれだけ広く社会に恩恵をもたらしたとしても、彼ら一人一人の名は誰の心にも記憶されない、そんな職業人たちを星に例えている。

 

主題歌「地上の星」では、誰も覚えていない地上の星たちは今どこにいるのかと問い、挿入歌「ヘッドライト・テールライト」でその星の名は砂に消え、雨に消え、時の中で消え、称える歌もないとしている。ただ、その人たちが始めた旅はまだ終わらないというところに主題歌で問いかけたその答えが示されている。

 

中島みゆきの真骨頂である小さきものへの慈愛に満ちた視線が歌うのは、名もなき星たちが行き先を照らす先にあるのが「まだ咲かぬ見果てぬ夢」であること、そして後続に居場所を示すヘッドライトがかすかに照らす彼方に「あどけない夢」が続いているということだ。

 

達成すべき大きな目標を追う星たちは自らの前方を照らすだけでなく、同時に後にいる次の世代のゆく道を照らす。

 

この番組の視聴者はもちろん、番組は見ていなくても、誰かが切り開いた道、または未開の道の上で、目標を追い求める星たちの旅は夜空の天の川のように連綿と広がっているのであろう。

 

歌詞の意味など考えずに聞いていた頃から、挿入歌の優しいオーラが私は好きだったが、こうして歌詞を吟味しながら聞いてみると泣きたくなるほどの優しい歌だと思う。「ヘッドライト・テールライト」は、小さな一歩を刻む人たちに炭治郎レベルの優しさを降り注ぎ、人類に希望を与えている。先週の三陸鉄道の回も感動だった。

 

番組のすばらしさに深みを添える主題歌と挿入歌。余人をもって代えがたい歌人、みゆき様。大好きです。