リアルタイムでの放送時は見なかったが、その後とても見たかったドラマがある。

「最愛」というドラマだ。去年真犯人フラグにはまっていた時分に考察系ユーチューバーが話題にしていたのをきっかけに興味を持った次第である。

これはTBS系のドラマであり、今となってはParaviに入らないと見られず、かといってこれを見るためにParaviに入るほど私はブルジョアではない。

限られたちょっぴり贅沢な娯楽としてサブスクリプションのサービスは結構入っているが、これ以上は増やしたくない VS 見たい、のせめぎ合いである。
ちょっぴりの贅沢は必要だが、際限ない贅沢は敵だ。

そんなわけで「最愛」は私にとって高嶺の花となった。

その私に訪れた2023年の初福音がHuluで「最愛」が見られるようになったというもの。
通知が一瞬で消えてしまったのでよく見えなかったのだが、サブリミナル効果か、私の脳裏にその事実がひっかかり、Huluで探したところ、やはり「最愛」があるではないか!

全10話×約45分を新春2日と3日で一気見した。途中から我慢できなくなり、最初は1.0倍で見ていたが、やがて1.25倍になり、10話は1.5倍で見た。1年以上前のドラマなのでネタバレとか気にしなくてもいいと思うが、最後、ハッピーエンドと言ってもよいほど、比較的幸せな終わり方で良かった。また今回もミッチーが、結構怪しいにもかかわらずそこまで悪人ではなくてそれも一安心だ。(私は何を心配していたのか)

最初吉高由里子さんの女子高校生設定には否めない抵抗を感じたが、それはそれで一興。松下洸平さんは安定の朴訥な人柄を演じ、他のパターンの役柄もできるか心配にはなるものの、唯一無二のほっこり感を醸しており◎であった。

そして、私は井浦新さんの底知れぬ魅力に思わず「参った!」と降参したくなった。

私がこれまで見たことのある井浦さんは得体のしれない奇妙な人物ばかりを演じていて、かなりお近づきになりたくない俳優さんの一人であった。

しかし「最愛」の井浦さんは頼りになって愛情に満ちていて、暖かくて、優しいお父さん熊のような存在感を示していた。愛のかたまりのような人だ。
真面目で誠実で、偽りのない人物。意図せず人を傷つけてしまったが、あくまで大事な人を守り切る。

タイトルの秘密がこの井浦さん演じる加瀬さんの生きざまにあったとは誰が想像しただろうか。このドラマを生かすも殺すも井浦さんの演技にかかっていた。そして井浦さんはまさにその重責を果たしたと思う。

きわめて変な役を演じる井浦さんと今回の井浦さんとどっちが本当の井浦さんに近いかわからないが、前より井浦さんのファンになったことは確かだ。

とりあえず、Huluはなかなか粋なことをする。一度一瞬止めたが、やはり今後もHuluには入り続ける予定である。