NHKのニュースを見ていた時、「ボートマッチ」なるものが紹介されていたので試してみた。ボートと言っても小舟ではなく、マッチといってもマッチ売りの少女が売っているあれではない。

 

選挙と言えば政見放送を見たり、選挙公報を見たりして立候補者の考えを理解しなければならないのだが、これらを見たところでわかったような、わからないような釈然とした部分は残るもの。政党のホームページも見てみるのだがそれでも完全に納得できるわけではない。しかし、このボートマッチを使えば、たちどころに政党や候補者との相性がわかるらしい。いわばマッチングアプリの選挙版というわけだ。

 

私が利用したのはまずNHKのもの。さらに新聞各社からも出ていることを知り、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞のものも試してみた。小選挙区の結果は、私が入れようと思っていた方が出て納得したのだが、比例の方は各サービスとも新鮮な結果が。特にNHKのものでは私ともっともマッチ度が高い政党は令和新撰組であった。私の世代だとどうしても「メ◯リ◯キュー」と言っていた姿を拭い去ることができない山本氏の政党だ。私にとってはノーマークの政党だっただけに「へー!」という発見はあったものの、何か違う気がした。新聞各社ではやはり令和新撰組が上位に入っていたので、私の考え方と似ている政策は多いのだろう。社会民主党や日本共産党も上位独占状態。つまりそれが私の傾向だ。ただ設問を一つ一つチェックしていくとマッチ率は高いものの、重視したいポイントが違ったりしている。私の結論は、ボートマッチはかなり参考にはなるものの、鵜呑みにしてはいけないということだ。

 

このようなサービスができたのには2つの背景があると思う。

 

1つは、若者の選挙離れ。若者の間に「難しくてよくわからないので行きません」という意見も多い中、SNSなどのネットサービスを活用することで、選挙に対する若年層の関心を高めるべきという声がよく聞かれる。これはその一環ではないだろうか。しかし、私のように歳だけは取っているアラフィフと違って、人生経験の浅い若者がボートマッチで簡単に得られた結果を妄信的に信じ、投票行動に直結することにはリスクがないだろうか。掲げた政策は守られるとは限らず、守られたとしてもその裏に国を揺るがす謀が潜んでいる場合もあり、甘い言葉で大衆を欺く政治家、政党もあるのだ。ボートマッチは参考にはなるが、それだけを材料とした投票は軽挙妄動に他ならないのではないだろうかと私は懸念する。

 

もう1つの背景は「電話の世論調査と同じじゃん!」ということ。向こうから突然かかってきていろいろ聞かれる調査と違って、一見自分のために能動的に自分の考えを入力しているが、メディア側はこれを使って情勢分析できることに間違いはない。新手の選挙状況分析。これが各社がこぞってボートマッチを始めた背景であろう。

 

どちらにしろ、現状のクオリティではボートマッチは「全てあなたにお任せします」というほどの存在ではないが、今後精度が高まり、利用者と提供者のWin-Win関係を発展させながら、その地位を確立させていくのかもしれない。私が今回活用させていただいたのは、マッチ度の高くない政党(私の支持政党)の中から私の重視する考えと近い回答をしている個人の立候補者を探し、比例において政党ではなく、その個人の名前を書くための情報収集である。一つの政党の中にもいろいろな考えの政治家さんがいるので、せめてそういう形でささやかな意思表示を行おうと思う。私一人の微々たる一票ではあるが、もう少し研究をして有効に投票権を行使するつもりだ。