浅田真央ちゃん推しだった私のスケートファン人生から真央ちゃんがいなくなり、私のスケートシーズンからときめきが消えた。

 

ずっと前にこのブログでも書いたのだが、真央ちゃんのひたむきさ、失敗しても失敗してもチャレンジし、言い訳しない健気さに胸を熱くしていた私は真央ちゃんの演技を見ただけで涙を流していたものだ。

 

そして、スケートシーズンが特別なものではなくなった私の意識の片隅で、彗星のように現れた長身のスレンダーな少年が活躍するようになった。最初は弱々しかった。演技の最後になるとよろけていた彼。発言はいつも模範的で、少しかっこつけているようにも見える彼。でもその彼は気付けば日本が世界に誇るスケーターとなり、絶対王者となり、私のアラフォー~アラフィフ期を彩る、時代のアイコンとなったのだ。

 

彼の名は羽生結弦。

 

細い棒がくるくる、軽やかに回っているみたいなしなやかさの裏にある努力や苦労が垣間見えた今回のオリンピックだった。

 

一位になる、トップに立つ、というのは努力を続ける上での目標である。しかし、一度トップに立ったアスリートは、栄光や名声と共に、その先の進む道に迷いを感じると推察する。

 

羽生君は何度も世界大会で一位をとり、オリンピックで一度ならず二度までも金メダルを取った。その上で、約10年の長きにわたり、第一線での活躍を続けているのだ。華やかな演技の裏にある辛い練習を続けること、失敗と常に背中合わせの競技を続けること、そのためにモチベーションを保ち続けることは、想像を絶する難しいことだと思う。さらに右足のケガに苦しんでいるという。

 

周囲が三連覇を期待する今回の大会で、羽生君はショートでサルコウジャンプがシングルになる不運に見舞われた。そして三連覇が絶望的となる中で臨んだフリーの演技で果敢に自身が取り組んできたクアドラプルアクセル、四回転半に挑み、転倒しながらも世界初公式認定を受けたのだ。

 

試合後、目にはっきりと涙を浮かべながら羽生君が「すべて出した。」「頑張った。」「報われない努力だったかもしれないけど。」というようなことを言っていたが、「そんなことない!!本当によく頑張った!!!」と目頭が熱くなった。真央ちゃんがソチオリンピックのフリーで渾身の演技を見せた時以来の感動だ。

 

真央ちゃんはソチでよかったんだよな、と今検索で確認したら、Bingニュースでも羽生君が絶賛されてた。良かった!この絶賛の声が全て羽生君に届きますように。

 

そしてもう少し競技生活を続ける羽生君が見たい。

どうかもう少し羽生君の美しい演技を大会で見せてください。