ファイト! 闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ
今シーズンのユニクロ・ヒートテックCMのBGMだ。
今までいろいろな場面で使用されてきた中島みゆきの名曲「ファイト!」は、かれこれ40年近く前にリリースされたもの。他の名曲同様、時がたっても色あせない。あたかも今年の、今の世情に合わせ書かれたかのように心に迫ってくる。
みゆきの曲はなぜ色あせないのか。それは弱いものに寄り添い、弱いものに押しつけがましくない声援を与え続けるからだろう。人間の本質が変わらない限り、みゆきの曲が色あせることもない。
「ファイト!」を題材に今回もまた考えてみたい。
「ファイト!」は、具体的でありながら、類推の余地を残すいくつかのシチュエーションを設定し、それぞれが心の中に抱える絶望や葛藤を映し出す。
みゆきの歌は、同じ目線ですべての人を痛みを理解しつつ、その苦しさを受容してくれる。その上で、きれいごとではない声援が寄せられてくる。決してきれいな言葉による空々しい声援ではないところもポイントだ。
そのメッセージは、同じ目線で痛みを理解していのとは違う、どこか達観した異次元の空間から響いてくる。それは歌姫であるところのみゆきが住む、人ならぬものが存在する世界からやってきているように私は感じている。もがくから、美しいのだと、生あるものの闘いを讃えてくれる。だから「ファイト!」に代表されるみゆきの一部の楽曲は人間の弱さを描きながら、その痛みを優しく受けめつつ、神々しい救いを施すことができるのだ。
「鬼滅の刃」で言えば、お館様みたいな感じ?
というわけで、ユニクロさんの素晴らしい選曲と、どこを切り取っても心に響く「ファイト!」の名曲ぶりに今回もまた脱帽である。
ボブディランに続き、ノーベル文学賞の声がかかるのはいつだろう・・・