今日テレビで見た内容:イギリスの研究者によると、獲得されたコロナウイルスの抗体は数ヶ月で弱ってしまうという。「感染→治癒→抗体獲得→(数ヶ月)→抗体喪失→また感染」ということになる。

 

これではワクチンが出来てもあまり意味がない。人類はもう滅びてしまうのではないかとまで思えてくる。ウイルスと人類の総力戦だ。そんな現在のコロナ禍で、大昔に読んだエドガーアランポーの『赤死病の仮面』という短編小説を思い出した。

 

世間で赤死病という架空の恐ろしい伝染病が流行る中、王がその恐怖から逃げるようにお城に籠もってどんちゃんさわぎをしているが、結局は病と恐怖から逃げ切れないという話である。

 

舞台となるお城の部屋は色とりどりで、人間の心理や何か抽象的なものを象徴していると思われる。どんなに楽しくしていても心の中のどす黒い恐怖はぬぐい切れないという事実が色を駆使して効果的に描かれている作品だ。

 

今私たちも疫病の恐怖におびえ、家に籠もって過ごした鬱屈した数ヶ月に疲れ、もとの日常に存在した楽しいものを取り戻したいと、現実逃避しようとしている傾向もあると思う。感染者数の増加は少なくともそのような傾向や人によって違う危機感のレベルの差に起因するものかもしれない。

 

同じ危機感を共有しながら、安全な場所などないと理解した上で、皆が基本的な対策をしっかり行い、もとの生活にあった喜びを一つずつ取り戻したり、新たに創造したりできるとよいけれど・・・。