老犬が旅立って早3週間。

 

彼が使用していた食器(?)や空っぽの犬小屋を見ては胸の奥が小さく締め付けられるような痛みを覚えたり、帰宅しても老犬が何やらフレンドリーによろよろと現れたり、いつもの場所で寝っ転がっていなかったりで、心にすきま風が吹く日々である。

 

「寂しくなんかない」と強がる両親も、「寂しい」と言ってはいけないといったような気持ちで無理をしているようだ。歳をとると素直になるのは難しいのだろうか。

 

折しも世間はお盆。亡き先祖の魂が家に帰ってくるという期間だ。そのことを両親に言ってみたら、老犬は人間ではないのでそういう発想を持ってはいけないのだという。彼がそんな悪い霊になるとは思えないのだけれど…

 

16年の年月は長く、重い。

まだしばらくは老犬のいない日々の隙間に寂しさが忍び込んでくるのだろう。