2日前のことだ。

 

大きな災害をもたらした台風一過の夕方、東の空に大きな二重の虹がかかっていた。

 

私が今までに見たことのある虹は部分的に薄かったり、見ている内にどんどん消えてしまうものが多かったが、今回の虹はとぎれることなく空に半円を描き、夕日の色を帯びながらどんどん濃くなっていった。

 

幼い甥っ子達ははしゃいでいたし、私自身初めて見るような美しい虹にちょっと浮かれて写真など撮ったりしたが、思えばこれは台風の置きみやげ。

 

たくさんの人に不安や困難や多大な損害を引き起こした最後にあんな美しい虹を残していくなんて、これが自然の圧倒的な恐ろしさであり、美しさなのだと思った。

 

原爆の日に関連してある被爆者の方が、原爆の様子を「ひどく恐ろしくもあり、同時に色とりどりの光が美しくもあった」と述べていた。

 

恐怖と紙一重の美というものもあるのだろう。エドガーアランポーの世界もそんな風だった気もする。

 

そんな危うい美ではなく、平和と安寧の中に美しさを見いだせるような世界を望むのみであるが。