7~8年前、多肉植物生育が趣味の知人から、人差し指の先くらいの大きさのサボテンをもらった。もらったままの黒いポリの鉢に入ったまま、マグカップに入れ、そのまま植え替えもしていないが、けなげにも今も生命活動を絶やさないいじらしいサボちゃんである。

 

植物のお世話をまともにできない私の部屋で、このサボテンちゃんは何ヶ月も水をもらえない砂漠のような過酷な状況にもかかわらず、次々と増殖し、ミニ・サボテンマウンテンを形成し、もうマグカップからあふれ出しそうだ。そして、この数年、この季節になるとかわいらしい白い花を咲かせてくれる。

 

ふだんは窓際のレースのカーテンの向こうにおいてあるので、週に一度窓のさんを掃除する時以外はその存在さえも忘れている私。それなのに今数えたら、愛くるしい花が5つも。サボちゃんだって、受粉してくれる虫さんを呼び寄せるためなどの目的があって花を咲かせているであろうに、虫さんもここには来てくれない。せいぜい私が喜ぶくらいのことなのに花を咲かせてくれるサボちゃん。

 

全てがいじらしく、愛しい。そんなサボちゃんに、この季節だけはちょろちょろとこまめに少量の水をあげている。

サボちゃんは喜んでくれているだろうか。