今日、ジムでエアロバイクをこいでいたら、隣にとても体臭の強い方がやってきて、良くないことだけど、心の中で「アンラッキー」とつぶやいてしまった。

 

その臭いは何かに似ていて、しばらく考えた後、レトルトのミートソースみたいなにおい、ということに落ち着いた。決しておいしそうなミートソースのにおいではないことは言い添えておきたい。運動を終えて、風呂場に行くと常連さん達もにおいの話をしている。どうやら彼の話をしているようだった。私だけがつらいのではなかったと、一安心だ。彼はきっと悪くない!彼は悪くないのだが、彼のにおいが多くの人に悪影響を与えていることも事実なのである。

 

世間では好意と体臭のジレンマについての記述も多く、「いい人なのににおいが…」だとか、「遺伝子が似ていない男性の体臭の方がより惹かれる」だとか、「好きなら体臭も魅力に」だとか、それはもういろいろなことが書いてある。

 

確かににおいはその人の生物的属性であり、そういうレベルで魅力の一つになりうるのだろう。しかし!今夜の私のように、爽やかに運動を楽しみたかったのに、強力なにおいのせいで不愉快な思いになったり、時には具合が悪くなったり、ということはままあることである。

 

デリケートかつアンタッチャブル、それでいて決して無視できないこのにおい問題。たとえ、身内であっても「臭いよ」なんてなかなか言えないものである。言えないからこそ「みんな何も言わないけど、私、実は臭いのでは?」という不安を感じたことがある人も少なくないのではないか。デオドラント商品や、消臭スプレーを各社競って開発しているのも世の中そんな人だらけだからに違いない。そんな中、体臭の強い彼も、口臭に問題がある行きつけの眼鏡屋さんの店員も、自分ではどう思っているのだろう。そして彼らの身近な家族は?みなさんは家族の体臭を指摘してあげられるだろうか。

 

現在私も「いい人なのににおいが…」という状況は他人事ではない。愛はにおいを超えられるのか。私にはわからない。