昨日の「ダーウィンがきた」はエイリアンフィッシュという魚についてだった。

 

最初は何の気なしに見ていたが、なかなか身につまされる内容だった。

 

エイリアンフィッシュは口が大きく、少々グロテスクな容姿を持っており、エイリアンを彷彿とさせるためこのように名付けられたようだ。話は主にエイリアンフィッシュのオスがいかに繁殖期を勝ち抜き、子孫を残すかについてだった。

 

エイリアンフィッシュは巻き貝のような貝殻に産卵をするのだが、その目的に適した貝殻を確保するところからオスたちの苦労は始まる。

 

貝殻を巡るオス同士の闘いの第一ステージは口の大きさによるものだった。口をぱっくり開けて、その大きさに勝てないと判断するとそれだけで口の小さめなオスは逃げていくのである。口の大きさで優劣がつかない場合闘いが始まるが、口の大きなものが勝者であるというエイリアンフィッシュ界の掟に文句をいう者はいないようだ。まあ、口の大きな遺伝子が種族全体にもたらす何らかのメリットがあるのだろう。

 

貝殻をゲットしたオスは頭を小刻みに揺する奇妙な踊りを踊ってメスを誘惑する。揺らし具合によってモテ度が違うそうだが、それでも好みに応じてそれなりのメスが寄ってくるようだ。いくどかの失敗を経て、産卵に来てくれたメスを貝殻に招き入れ、まもなくすると…。なんと!オスは産卵を済ませたメスを無理矢理貝殻から引きずり出し、追い出すのだという。子育てはオスだけで行うため、メスはもうお払い箱なのだ。

 

人間界なら「女は子供を産むための道具ではない!」などと炎上しそうなところだが、オスはその後たった一人で文字通り体を張って卵をかえし、子供を育てるのであった。そんなエイリアンフィッシュ♂を見ていたら、怒りも雲散霧消していくというものだ。

 

若い頃は「人はなぜ生まれるのだろう」などと考えることが多かったが、結局は全ての生き物は子孫に遺伝子を受け継ぐために生まれてくるのかもしれない。人間はそれに時として疑問を抱き、エイリアンフィッシュはただただ、遺伝子の命じるままに大きな口を開け、命がけの子育てのための貝殻をゲットする。

 

エイリアンフィッシュの生き方を少しだけ参考にした方がよいのだろうか。