新宿野戦病院について、特に小池栄子さんの英語についてネットでいろいろ書かれているのを眺めつつも楽しく視聴している。

田舎暮らしの私にとって新宿歌舞伎町はまさに異国の様相を呈しており、ドラマとは言え、これが日本のリアルに近い状況なんだなあと自分の世界をとても小さく感じるのである。豊かさも伝統も感じられず、そこには乱れた風俗や乱痴気騒ぎがあるのみだ。

宮藤官九郎さん作品はだいたいおふざけの中に何らかのメッセージが込められている。今回は乱れた中にも活気と人情があふれる歌舞伎町周辺の人間模様がメッセージの肝だと思うが、最新回第4話では医療保険の問題、貧富の差の問題が描かれ、胸に刺さった。

もともと我々にはなんとなく「西洋から学べ!」みたいな雰囲気がある。そして近代化の過程で多くのことを学んできた。しかしながら第4回を見ていて、陽子さんがいうように、日本が成し遂げている国民皆保険が原則であり、貧しくても医療が受けられること、救急車が無料で来てくれることはなんてすごいことなのだろうと思った。マイナンバーカードへの移行含め、文句ばかりいっている人が多いが、このような現状を踏まえた上で、このセイフティネットが奪われないようにどうしていくべきかという視点を持つことを忘れるべきではない。クドカンさんの作品を見て、改めてそのことを感じた人が少なからずいるとよい。

円高の話、物価高の話、低賃金の話、確かに手をこまねいていてはいけない。しかし、円安ドル高の中、アメリカ人がどんないい暮らしをしているかと思えば、先日テレビで見たアメリカ人たちは、マクドナルドが1000円くらいの超破格のセットを販売してくれてすごく助かるなどと言いながら、物価上昇に賃金上昇が追い付かずあえいでいた。

世界は常に動いていて、知るべき情報は果てしないが、身近なことだけでなく、より広い世界に目を向けつつ、よりよい我が町、我が国、そして世界を目指したい。

さて、小池栄子さんの英語だが、私はすごいと思う。「当然意味が分かっていなければあれだけの長いセリフを気持ちを込めて言うことはできない⇒つまり小池さんは英語のセリフを理解して話している⇒英語はできる人のはず⇒少しトレーニングを受ければもっときれいな英語はお手の物、いやすでにお手の物済みかもしれない」というわけで、彼女は癖の強い日本語を話すのと同様に、アジア系アメリカ人らしい癖強英語を演じていると考えるからだ。ちなみにあの日本語、一般的日本人は広島弁を想起するのだが、そこをあえて岡山弁ということにして外しているところにも小技を感じるのである。

そう思って見ると小池さんの英語はすごくうまい。あんな英語は聞きたくないと言っている人はもっと世界の英語に目を向けたらわかると思う。インド人の英語、フィリピン人の英語を筆頭に、一言に英語と言っても、世界ではさまざまな英語が日常の中で使われているのだ。

歌舞伎町の現状に気が遠くなりながらもそこで援助の手を差し伸べようとしている人たちの取り組みにエールを送りつつ、今後も楽しみに視聴したい。