【序】

「夜はなぜ暗いのか」という素朴な問いかけが、現代の宇宙論におけるきわめて重要な事柄と結びついていることに感動したのは11歳の頃。

その本は、身近なものや出来事が深遠な宇宙や大自然と結びつく「科学すること」の楽しさを感じさせてくれました。

その後、オルバースのパラドックスについて書かれた本をいくつか読みましたが、ずっと長い間、ひとつだけ気になることがあったのです。それはこんなことです。

 

【これまでの解説本の不満な点】

詳しい解説本の多くは、地球の全周を恒星が取り囲むような状況を仮定しています。

これではまるで、惑星破壊兵器です。

「夜はなぜ暗いのか」という質問に対応するのは、地球全体が昼と同じ明るさになるモデルだと思います。

 

【前提条件を変えます】

前提条件:肉眼で見る夜が、なぜ昼と同じ明るさじゃないの?

今回は、オルバースのパラドックスをメインテーマとした科学入門書『宇宙はなぜ「暗い」のか?』の5章をベースにして、「人間の肉眼で見る夜が、なぜ昼と同じ明るさじゃないのか」という切り口でこのパラドックスを簡単な記述の範囲で解いていきたいと思います。

オルバースのパラドックスについて詳しく知りたい方は、上記の書籍をご覧ください。(ただ、今回の前提条件での記述はありません)

 

このブログ作成にあたっては、津村先生からお忙しいなか多大なご指導をいただきました

このブログは私の独自の付け足し部分も多くあり、津村先生のご指導をすべて活かせていませんので、誤りや不適切な記述があるかもしれません。

内容に関する責任は、すべて私にあります。

 

【全体の目次】

1、「宇宙」はなぜ暗いのか・・・・大気による散乱のお話

2、星が「見える」ということ・・・・可視光線のお話

3、明るさの尺度「表面輝度」・・・・距離に関係なく表記できる明るさの単位

4、もともとのオルバースのパラドックス・・・・明るすぎます!

5、夜空はどこまで見えている?(背景限界距離)・・・・パラドックスを解くカギ

   夜空を見上げた時に目に入る星までの距離は1000垓光年・・・計算誤りでした(ミントの私見)

   夜空を見上げた時に目に入る星までの距離は10垓光年

6、天球の表面輝度・・・・星で埋め尽くした明るさは?

   オルバースの仮定する状況では、9万個の太陽で天の半球が埋め尽くされます

7、夜空が昼の明るさになる条件・・・・・どのくらい星で埋めれば昼になる?

     天の半球の25万分の1を星が埋め尽くせば、夜空は昼の明るさになります

8、星の寿命が足りない・・・・ケルヴィン卿による正解

   星の寿命が100億年だとしたら、夜空に恒星が光っている確率は10兆分の1になる

   不正解といえる学説でした。11で検証します。

9、宇宙年齢では時間が足りない・・・・宇宙は138億年前に生まれた

   宇宙は138億年前に生まれたばかりなので、私たちは138億光年かなたまでしか見ることができない

10、宇宙が膨張している・・・・赤方偏移とその効果

   佐治先生が「宇宙が膨張しているということも、まあ、理由の一つにはなるんですね。」と仰ったわけ

11、今回は「星の寿命が足りない」という説は採りません・・・・ミントの私見

   星が生成・消滅を繰り返すことを考慮していない異説は、今回採用しません

12、ミントの考察・・・・2つの説でだいたい説明できました

   「おそらに涯てがある」と「宇宙は膨張している」で、いまの夜空の説明もできました

13、謝辞・・・・ブログ完成のお礼

   ブログ完成のお礼の言葉です

 

その2へ続きます

 

 

【ブログ作成の理由】

このブログは、NHKのクイズバラエティ番組『チコちゃんに叱られる!』の2019年4月5日19:57放送(再放送は4月6日20:15)で「夜はなぜ暗い?」の番組内解説に津村耕司先生がtwitter上でコメントしたつぶやきが発端となって作成しました。
津村先生いわく
「昨日のチコちゃんに関するつぶやきが想像以上にバズっててビビる。皆さん宇宙に関する話題がお好きなことに嬉しく思うと同時に、なんだかんだ言ってもゴールデンタイムのテレビ番組の威力は絶大なんですね。」とのお言葉通り、津村先生の著者がAmazonランキングでも上昇していました。
私は、以前からこの本を読んでいて「もし重版がかかる位なら、改訂版として手を加えて、もっと良い本にしてほしいな」と思ったため、津村先生にご相談をしてこのブログを立ち上げました。

※ 津村先生から、もう3刷であることを教えていただきました。初版を買っていたのでついつい「重版」などと失礼なことを言って、申し訳ありません。
 
【佐治晴夫先生について】
津村先生にはこのブログ作成のご相談にあたりお伝えしていますが、私は子どもの頃に佐治先生の『おそらにはてはあるの?』を読んで、たぶんその頃から宇宙に興味を持ったのだと思います。
その頃はオルバースのパラドックスなんて理解できなかったけれど、小学校高学年のときに読んだ『宇宙の不思議 宇宙物理学からの発想』で宇宙の原理と身近な疑問が結びついていることに感動して、いつの間にか科学が大好きになっていました。
私は、佐治先生がだれでも読める入門書に、わかりやすく素朴な疑問と「宇宙にはてがあること」や「宇宙が膨張していること」を書いてくださったことのすばらしさに敬意をいだいています。
このブログはあくまでも、津村先生のご著書をもとに、科学的なお話をまとめたくて書いたものですので、その点をご理解いただければ幸いです。