見る影もなく窶れ果てた、眠りから醒めて
三島和也編
三島和也の回想1
合鍵を使って部屋に入った。ほんの二日前までここは恋人の部屋だった。昨日の朝、電話が来た。別れましょう、荷物持って帰っておいて、旅行中に。とだけ言って彼女は電話を切った。部屋はきれいに片付けられて、僕の荷物は玄関辺りにまとめられていた。二年か・・・。そう思った。二年間、お互いの家を行き来するだけの付き合いだった。愛しているのかもしれないし、或いは、都合がよかっただけかもしれなかった。ともかくも荷物を取りに来た。あの時、あのまま、荷物だけを取って帰ればこんなことにはならなかったのか、そんな後悔が頭の中をいっぱいにしていた。部屋に上がって冷蔵庫からビールを出して飲んで、携帯電話で女の子を部屋に呼ぼうとしていた。自棄になっていたのかもしれない、くだらない仕返しをしようとしたのかもしれない。電話を掛けるとき、指が震えていた、声も震えていたかもしれない。女の子が部屋に来るまでにビールを二本あけた。部屋のチャイムが鳴って、ドアを開けた時、そこに立っていた女の子が綺麗で面食らった。彼女は部屋に上がるなり、女の子の部屋みたい。といった。僕は事情を話さなくてはいけないような気がして、つい、今起きてることを話した。彼女は何も言わずに僕を見つめたままで話しを聞いていた。退屈じゃない?と、何度か尋ねたが、彼女は首を横に振った。僕と恋人の二年間、彼女が旅行に出かけて突然、別れを切り出されたこと、荷物を取りに来て、なんかの腹いせみたいに女の子つまり君を部屋に呼んだこと。話せば話すほど、愚かでくだらないことに思えた。すべて話し終わった所で、僕はようやく正気に戻って、彼女と自分に麦茶を入れて持ってきた。彼女は、ありがとうといって、小さな声で、うらやましいな、と言ったのだ。うらやましい?何が?僕が聞くと、彼女は普通に恋愛して、普通に別れて。私もしてみたい。そういった。そのあとで彼女が僕に話したことは今、どうしても思い出せない。気が付くと、僕は彼女の首を絞めていた。彼女は僕から目を離さなかった。大きな瞳はじっと僕を見ていた。口が動いていて、何か言っているようだった。僕にはわからなかった。彼女の体がぐったりした後、僕は飲みほしたビールの缶を持って部屋を出た。それをどこへ捨てたか思い出せない。部屋の鍵はあけたままだった。部屋を出るときに彼女の携帯電話が鳴っていた。どこかで一夜を過ごしたが思い出せなかった。それからひたすら走って来たバスに飛び乗った。桜が丘団地行だった。目を閉じて、焼き付いた光景を忘れようとした。空がどんより曇ってきた。彼女の、探してほしい、という言葉を思い出した。首の柔らかな感触が手のひらから消えなかった。コンビニで手を洗って、何か食べて、新聞を買って、横浜にむかって歩き始めた。彼女は、沙蘭といった。
1
桜が丘団地行のバスは数名の乗客を乗せて急な上り坂を走っていた。どんよりと重い空からはまだ雨粒は落ちてこなかった。秋の終わり、冬の始まり、乗客たちの表情は一様に暗く映った。
次は、桜ヶ丘記念病院前、桜ヶ丘記念病院前、とアナウンス。町の一番大きな大学病院でほとんどがバスを降り、代わりに幾人かが乗ってきた。三島は右のこぶしを上着のポケットの中で強く握りしめ、考えていた、どうしてバスに乗ったのか、なぜこの行先なのか。どこかへ行かなくてはならないことだけはわかっていた。不意に窓ガラスに雨があたり始めた。それは最初のうち柔らかく数滴だけだったが次第に激しく大粒になり、ガラス窓一面を濡らしていった。三島はガラスに映る自分の顔を眺めた。無精ひげを生やし、一昨日から同じ服を着たままの自分を。これが夢なら、何度もそう思ったが、そんな筈はなかった。右手の記憶に混乱し、時間とともに幾つかの事を思い出していた。携帯電話はもう何時間も沈黙していた。
桜が丘団地、桜が丘団地。とアナウンスが流れるのが早いか、三島はストップのボタンを押した。彼はバスが止まるよりも早く席を立ち、出口付近に陣取り、きょろきょろと周りを見た。乗客は別段、彼に注意を払っていなかった。三島は幾分ホッとして、出口が開くのを待った。その時、真後ろに座っていた初老の女性が三島に話しかけた。落としましたよ、と。三島のポケットからはギリシャのどこかの島の絵葉書が一枚、するりと落ちたのだ。三島が慌てて拾うと、それどこの島?とたずねてきた。三島は出来るだけ落ち着いて答えようとしたが、その声はいささか上ずっていた。ギリシャ、ですね、きっと。女性は、あら、素敵ね、といった。そのうちに降車口が開いて彼はバスを降りた。バス停の目の前はコンビニエンスストアだった。三島はポケットの手を握りしめたまま、店に入ってトイレを探した。チラリと新聞の見出しに目をやったが、書かれていたのは政府の無能な政策を叩くような記事ばかりだった。すれ違った店員に、ぶっきらぼうにトイレを借りますと言って中に入り、ゆっくりと手を出した。いつもの自分の手だった。しかし、その手の中にはまざまざと皮膚の感触が残っていた。柔らかな首の感触が見て取れた。苦しげな声が耳の奥にこびりついていた。三島は手を濡らし、石鹸でゴシゴシと洗った。記憶ごと洗い流したかった。涙が出て嗚咽が漏れた。それでもあの感触は消えなかった。水を全開にだして手をあてた。でも、流れて行ったのは石鹸だけで、記憶と感触は前よりも一層、鮮明になったような気がした。トイレをでると携帯電話の充電器と、サンドイッチとコーヒーを買ってイートインに入った。温かなコーヒーがほんの少し安ど感をもたらした。彼は携帯電話を充電しながらもう一度泣いた。店員が時々、心配そうに彼を見やった。が、声をかけることはなかった。食事が終わると新聞を買い、それを隅から隅まで読んだ。無能な政府の政策、ヤクルトの日本シリーズ3連勝、アメリカ大統領のSNS投稿のバッシング、有名女優の結婚。どの記事も昨日と違うけれど、どの記事も昨日と大差なかった。一面から順に読み進めていくうち、名刺大の記事に、大和市のアパートで若い女性の遺体。身元は現在調査中。殺害事件と断定し、現場付近で目撃された男の行方を追っている。と書かれていた。三島は大きく息を吸った。冷めたきったコーヒーにミルクと砂糖を入れて飲んだが何の味もしなかった。代わりに砂糖のざらざらとした感触だけが口の中に不快感を象徴するように残った。ポケットから煙草を出そうとしたが、安物のライターが出てきただけだった。雨はまだ、降り続いていた。傘を買うか迷った。財布には十分な金が入っていたが、いつまで持つかは見当がつかなかった。
コンビニの外に出て、新聞紙を頭の上にかざして歩き始めた。少しずつ記憶が鮮明になってきていた。横浜に行かなくてはいけなかった。此処から桜ヶ丘の駅を経由して横浜までは歩いても四時間。交通機関を利用するよりは安全だろうと三島は考えた。四時間、随分な時間だ。しかし出来る限り目立たず、誰にも会わず、横浜につくほうが優先されるべきだと思った。携帯の地図アプリに従って歩き始めてすぐ、すれ違う人たちが、自分ばかりを見ている気がした。三島は携帯電話をポケットにしまって下を向いた。雨はやみ始めていた、濡れた新聞紙をどこかのコンビニのごみ箱に捨てた。煙草を買いたかったがやめた。代わりに握りしめたライターを見つめていた。その時だった、警察に声をかけられた。
2
どこへお出かけですか?眉毛の濃い、骨ばった顔の警察官は出来るだけ明るく優しい声で話しかけていますよ、という感じで三島に近づいてきた。三島は緊張した。ライターをポケットに入れて、その中で手を固く握りしめた。横浜まで。ボソッと答えた。うそをつくのは気が引けた。警察官は不思議そうな顔をして三島を覗き込んだ。大和の方から来られたのに?さっきよりほんの僅か固い声に変った警察官の目を三島はじっと見ていた。ええ、休みの日によくやるんです。散歩ってわけではないけど四時間くらいかな、歩いて横浜まで。なるほど、と警察官は言った。実は、大和で殺人事件が起きたんです。若い女の子が殺されましてね。かわいい子でしたよ。絞殺ってやつです、わかります?絞殺。首を絞められたんですね。現場で男が目撃されてて、背格好の似た人に声をかけてるわけです。はぁ、と三島は言った。この女の子、見たことありますか?B5のコピー用紙に印刷された顔写真を広げながら警察官は三島に話しかけてきた。三島は息をのんだ。そこに印刷されていたのは、一昨日、自分が殺した女だった。知ってます?警察官は聞いた。三島は、いいえと答えた。なんで殺されたんですか?三島の問いに警察官はやれやれといった感じで、わからないんですよ。この女の子、風俗嬢なんです。横浜には来たばかりで、前は札幌にいたんです。でも、殺された。大和の小さなアパートで。服を着たままで。不思議なことばっかです。部屋には口をつけてない、グラスに入ったお茶が二つ、そのまま残ってました。しかも彼女を呼んだのはその部屋の持ち主じゃないんです。持ち主は女でね、いま、旅行中なんです。そうなんですね、と三島は言った。でも、僕には関係ないですね、彼女を見たこともないし。そこまで話すと、三島は歩きだした。警察官はすぐに彼の前に立ちはだかり身分を証明できるもの、ありますか?と聞いた。三島は財布から健康保険証を取り出した。三島和也さん?なるほど、お住まいは厚木、なるほど、わかりました、じゃ、横浜まで気を付けて下さいね、こんな雨の中、ご苦労さんです。警察官の言葉が終わらないうちに三島は歩きだした。そのうち警察は自分のところにたどり着く。出来るだけ早く横浜に行かなくてはならない。彼女の勤めていた店へ。確か、ヘパイストスと言ったはずだ、そこへ行かなくてはならない。そこに行けばわかるのだ。それだけが頼りなのだ。右手は小刻みに震えていた。人差し指と中指の指先に、彼女の皮膚の感触がよみがえってきた。首を絞められている間中、ずっと自分を見ていたあの大きな瞳を思い出していた。三島は大きく息を吸った。湿った空気がアスファルトの匂いと一緒に肺の奥へと送り込まれてきた。
桜ヶ丘から横浜へ、夜になる前にはどうしても着きたかった。汗と、雨に濡れた衣服が臭く風呂に入りたかった。どこかで新しい服を買う必要もあった。宿も見つけなくてはいけなかった。早く横浜に着きたい、三島はそう思った。携帯電話のニュースに大和市での若い女の殺人事件の続報が出ていた。当初、警察はアパートの持ち主が殺されていると考えていたが全くの別人だと判明した。持ち主は旅行中であることが分かった。殺されていたのはこの部屋とは関係のない女だというところまで公表していた。女が何故殺されたのか、部屋には争った形跡もなく、誰がいつ、ここに呼んだのか警察は調査中だとあった。三島は、心臓が早く高く鼓動しているのを感じた。次に警察に尋問を受けたら終わりだろう。急がなくてはいけない。彼は自分の殺した女の願いを叶えてやらなくてはいけないのだ。三島はタクシーを止め、横浜駅まで。そういうと、途端に眠りに落ちた。横浜駅ですよ、お客さん。と、何度か声をかけられて三島は目を覚ました。 タクシーの車内には饐えた匂いが充満していた。慌てて財布から2万円出すと運転手に渡し、取っといてと言うと車を降りた。途中で服を買い、コンビニによってから目についたビジネスホテルに入った。幸いにも部屋は空いていた。三泊、部屋を取った。鍵を受け取り、七階にあがって部屋へ向かう途中、三島はパジャマ姿の男とすれ違った。ビールでも買うのだろう。一瞬だが嫌な顔をされたと三島は思った。 部屋に入ると熱いシャワーを浴びた。体中の汚いものと同時にわずかにあったはずの美しいものが排水溝に消えていく気がした。風呂を出て、体をふいて、新しい下着とホテルのパジャマを着て、ビールをあけた。温くなってはいたが、ビールの味がした。眠れそうにないなと三島は思った。不意に脱ぎ捨てた服が臭う気がして、フロントに電話をした。クリーニングをしたいと言ったら、部屋に備え付けの袋に入れて、明日、出かける際にベッドの上においてくれと言われた。すぐに袋を見つけてその中に入れて、玄関辺りに放置した。結局、眠りは訪れなかった。三島は白い天井を一晩中見ていた。真夜中、顔を洗うために洗面所に行くと、そこに映る自分が幾分やつれている気がした。あの女も死んだ後ではやつれたように見えた。人は死ぬと何かが変わる、魂には重さがあるような事を誰かが言ってた。あの女と自分にはどんな違いがあるのだろうと三島は考え、ふと、自分がやつれているのはもう死んだからじゃないだろうかと思った。顔を洗ったが、まだ眠っているようだった、かと思うと驚くほど覚醒もしていた。これが混乱だ。三島はそう考えた。
やがて朝が来た。三島は長くそれを待っていた。熱いコーヒーを淹れて、ゆっくりと飲んだ。三島は新しい服を取り出して着替えた。出かけよう。朝のうちに出て、店を見つけだしどこかに張り込んで従業員から話を聞くのだ。ベッドの上にクリーニングの袋を置いて部屋を出てエレベーターホールへ。下のボタンを押すと、昨日すれちがった男が横に立った。三島は先に乗り、一階のボタンを押した時、不意に声をかけられた。値札、ついてますよ。と、そうだ、襟の裏のタグに値札がついたままだったかもしれない。慌てて買って、慌てて着た。三島は襟のあたりを探り、値札を見つけたが自分で千切り取ることは困難だった。見かねたのか、男が、とりましょうか?と言って外してくれた。三島はありがとうございます、といった。エレベーターが一階に着くと三島は急ぎ足でホテルを出た。
よく晴れていた。携帯の地図アプリで見ると、店はここから7分、向かいにコーヒーショップがあった。そこで時間をつぶそう。三島は携帯電話をズボンのポケットに押し込むと歩き出した。ヘパイストス、目的地までは7分。頭の中で同じことを繰り返した。途中、本屋に入って文庫本を買った。スプートニクの恋人だった。一度読んだことがある気がした。かつて恋人だった女、今はギリシャに旅行に出かけている彼女が進めてくれたものだ。確かこの話にもギリシャが出てきた。彼女は絵葉書を送ってきた。ギリシャはとても美しい国です、ここで私はもう一度自分の人生を考え直すのも悪くないと思います。そう書いてあった。ポケットには絵葉書を入れてきた。なぜか捨てることができなかった。沙蘭が死んだのは沙蘭が望んだことで、運命で、仕返しだった。三島が沙蘭を殺したのも、沙蘭が望んだからで、運命で、三島自身の小さな仕返しだった。くだらないことだと思った。人の命はそんな風に扱われるべきでないと思った。沙蘭は言った。兄を殺してほしい、私を殺して、兄も殺して欲しいと。三島はうなづいた。そして、ここに来たのだ。ヘパイストス。彼女がかつて働いていた店に。コーヒーを買い、窓際の席に座ろうとした時、ビルの入り口に男が立っているのが見えた。ホテルのエレベータで一緒になったあの男だ。三島の胸に感じたことにない感情が去来した。胸騒ぎのような、電気の走るような感覚だった。追わなければいけない。三島はコーヒーを放り出して店を出た。男がエレベーターに乗った。二車線の道路を渡って、ビルの入り口から階段を上がりエレベーターが何階に向かったか見た、6階だ。エレベーターは6階で止まっていた。夢中で背面にある階段を駆け上がった。階段を上がりながら、何か考えなくてはいけないと思った、このまま店に入るわけにはいかないと思った。しかし、足を止めることができなかった。右手が階段の手すりを上へ上へと握り続けた。息が上がって汗が大量に噴き出していた。あれが沙蘭の兄だという確証はないのに三島の頭の中は、あれが兄なのだという警報を鳴らし続けていた。
6階に着くと、左手の廊下の奥、開け放たれたドアから男の話声が聞こえた。誰かが沙蘭と言っていた。誰かが、お前は誰なんだと聞いていた、怒鳴り声がした。三島はヘパイストスの前に立った。
三島和也の回想2
どれくらい眠っていたのだろう。いや、ここはどこなんだろう。生きているのだろうか。天井らしき目の前の壁は真っ白だった、どこにも電気らしいものは見当たらなかった。死んだのだろう。ナイフが左の脇腹へ入ってくるときの感触を思い出していた。ゆっくりと顔を左に向けて見ると、左わきに鋭い痛みが走った。なんだ生きているのか。死んだなら、こんな激痛があるわけはない。テーブルの上に絵葉書が立てかけてあった。ギリシャのどこかの島が描かれていた。文庫本が置かれていた。結局1ページも読まないうちにあの男に刺されてしまった。もっとうまくはやれなかっただろうか、なんなら殺されておいた方が楽だったんじゃないか。そう思ったが、すべては手遅れだ。沙蘭は死んでしまったし、俺はこうしてベッドの上に横たわっている。ナースコールを押してしばらく経つと、看護婦と一緒に刑事が部屋に入ってきた。一人は太った背の低い男で、一人は背の高い色白の男だった。背の低い方の刑事が、三島和也さんですね?椎名沙蘭さん殺害の件でお話を伺いたいと思いますが、もう少しけがの状態が安定した後で結構です、しっかりと直して事情を話してください。それと椎名良治さん、ご存知ですか?横浜のヘパイストスであなたを刺した男性です。そのことについても、しっかりとお話してください。今日はこれで帰りますが、くれぐれも変な気は起こさないように。頷いたのが先か眠ったのが先か、眠りに落ちた。
3
入院して五日目、ようやく起き上がることができた。部屋の中を歩くだけでも一日分の体力を使うような苦しい日が続いた。生きているのだと思った。三島はこんな体になって初めて、自分は生きているのだと思った。遅かった。後悔と無念が頭をいっぱいにした。そろそろ刑事たちが来るだろうと三島は思っていた。かつて恋人だった女は、ギリシャから戻って大変な目に合ってるだろうと思った。自分を刺した沙蘭の兄はどうなっただろうと思っていた。彼もまた、自分と同じように後悔しているだろうか、沙蘭の人生にしたこと、そして彼自身の人生について。三島は後悔していた。彼女を殺さなければよかったと、横浜に行かなければよかったと。しかし、すべては終わったことだとも思った。洗面台の鏡に映る自分を見てぎょっとした。三島は、その男を見たことがあった。かつて、自分と認識していたその男は、今はもう窶れ果て、見る影もなかった。部屋の外に乾いた靴音が二人分、近づいてきて止まった。三島はベッドの上に腰かけて、ノックの音にどうぞと言った。
*上演台本ではありません
*あくまで、原作原稿の50%未満です
*演出、構成、脚色し、2人で朗読します