たまには読書の話でも。
野生の蜜 オラシオ・キローガ著 甕由己夫著
南米(ウルグアイ)の作家であるキローガの短編集。
この短編集を貫くのは「死の匂い」である。同時に、その大半がわたしにとってはあまり馴染みのないジャングルを背景として描かており、非常に興味深かった。
短編集の最後に置かれた『完璧な短編作家の十戒』の①に「神を信じるがごとく、ポー、モーパッサン、キプリング、チェーホフといった巨匠を信じよ」とあって嬉しかった。
キプリング、また読んでみよう。
『アナコンダの帰還』、『野生の若馬』、『鼠の狩人』、『羽根まくら』が特に気に入った。
ジヴェルニーの食卓 原田マハ著
まだ途中なんですけどw とても素敵な短編集である。
『美しい墓』にはマティス、『エトワール』にはドガ、『タンギー爺さん』にはセザンヌ、『ジヴェルニーの食卓』にはモネが出てくる。
『美しい墓』においては、マティスが暮らした南仏の明るい光の様が文字通り生き生きと描かれていて素敵だった。南仏に初めて降り立った時、まだ3月だったけどパリとは違う明るさに衝撃を受けたことを思い出した。
『エトワール』においては、あの少女像のことだな、と思いながら読みすすめた。
映画『エコール』のことをちょっと思い出したりしたよ。
まだ途中なので次のお話を読み進めていくのが楽しみ
ちなみに表題作『ジヴェルニーの食卓』は2013年に直木賞を取ったらし!
名作から創るフランス料理 小倉和夫著
文字通り、有名ないくつかのフランス文学からインスパイアされたフルコースを、物語と共に紹介する本。
とりあげられた小説家たちは、プルースト、ゾラ、フローベール、モーパッサン、バルザック、デュマ・ペール、コレット、デュ・ガール、モーリヤック、スタンダール、デュラス、となじみ深い作家たちばかりである。
中でも、プルースト「失われた時を求めて」、コレット「シェリ」は大好きな作品だし、デュラスも好きな作家さん。スタンダール「赤と黒」は先日舞台を見て再読したいと思っているし、フローベール「ボヴァリー夫人」は心に刺さった印象が今でも思い出せる名作だ。
フランス料理のフルコースは、その実結婚式にお招きされた時くらいしかご縁がないのだけれども、とても楽しく読みすすめている。
本を読むとき、わたしは本の中に没頭する。
わたしはもはや通勤列車に押し込まれているのではなく、ソファに座っているのでもない。
時にはジャングルに、時にはフランスにいるのだ。時空を超えて。